2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791061
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
岡田 悦子 群馬大学, 医学部, 助教 (90334094)
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Keywords | 腎性全身性線維症 / ガドリニウム / 石灰化 / 線維化 |
Research Abstract |
腎性全身性線維症(nephrogenic systemic fibrosis : NSF)は,高度の腎機能障害患者にMRI造影剤のガドリニウムを使用した後に発症し,全身諸臓器の線維化を特徴とし,石灰化や骨形成を生じることもある近年見出された稀な疾患である.しかし,本症の線維化および石灰化病変の形成機序は現在まで全く解明されていない.そこで,ガドリニウムが各種細胞に及ぼす作用を検討した. 骨芽細胞に分化する前骨芽細胞(MC3T3-E1)は,高濃度のガドリニウムを与えると細胞増殖を促進し,ガドリニウム低濃度においては石灰化を促進した.また,脂肪組織由来間葉系幹細胞,ヒト皮膚由来線維芽細胞においては前骨芽細胞に比べて,ガドリニウムが高濃度かつ長時間曝露された条件下で石灰化を誘導した.他方,ガドリニウムは脂肪組織由来間葉系幹細胞の脂肪分化には影響しなかった.これらの結果は,ガドリニウムが間葉系幹細胞,線維芽細胞の能動的形質転換に寄与している可能性を示している. 線維化の指標であるヒト皮膚線維芽細胞の1型コラーゲン産生に関しては,ガドリニウム添加により培養上清中の1型コラーゲン蛋白量は増加したが,mRNA発現量は増加しなかった.従って,線維化病変は線維芽細胞のコラーゲン産生亢進によるのではなく,細胞増殖によるコラーゲン量の相対的増加によってもたらされている可能性を示唆している.
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Research Products
(1 results)