2010 Fiscal Year Annual Research Report
有棘細胞癌の浸潤・転移に関与するmicroRNAおよびmRNAの網羅的検索
Project/Area Number |
21791085
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
武居 公子 琉球大学, 医学研究科, 助教 (90325861)
|
Keywords | 癌 / ゲノム / シグナル伝達 |
Research Abstract |
培養マウスケラチノサイト細胞株Pam212細胞はマウスに接種すると低分化型有棘細胞癌を形成するが殆ど転移しない低転移性株である。このPam212細胞を親株としてマウスに接種し、稀な転移巣から娘株を樹立するという方法で、高率に転移巣を形成する高転移性娘株であるLY細胞,LU細胞が樹立された。これらを同じgenetic backgroundを持ちながら転移性の異なる癌転移のモデルシステム細胞株として使用し、遺伝子mRNA発現および蛋白質レベルでの発現プロファイルの網羅的検索・比較をおこなった。DNAチップおよび2D-DIGE/MALDI-TOF/MSによる解析その結果、有力な候補分子としてcytokeratin8(CK8),cytokeratin18(CK18)が同定された。CK8,CK18は単層上皮型ケラチンで、正常ケラチノサイトでは発現していない。Pam212細胞とLY細胞のウェスタン解析およびRT-PCR解析では、LY細胞にのみCK8,CK18の発現が見られ、免疫染色でも同様の結果であった。Pam212細胞にCK8,CK18を発現させたところ人工基底膜の通過能が有意に高くなり、両者の発現が有棘細胞癌浸潤を誘導・促進することが示唆された。更に、ヒト有棘細胞癌におけるCK8,CK18の発現を表皮内癌(n=21)と浸潤癌(n=24)で比較した所、浸潤癌ではCK8,CK18の異所性発現が有意に高く、ヒト有棘細胞癌の浸潤にもCK8,CK18が関与していることが明らかになった。今後、CK8,CK18が有棘細胞癌の転移への関与についても検索予定である。
|