2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規ペプチドNPSの精神疾患モデル動物における役割
Project/Area Number |
21791112
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡村 斉恵 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 講師 (40527909)
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Keywords | 精神薬理学 |
Research Abstract |
前年度は、現時点で研究にもっとも適切な物質を選択するため、近年新規に報告された数種類のニューロペプチドS(NPS)受容体遮断薬について、研究代表者が以前報告したSHA68を中心に、各物質の選択性、機能、溶解性、入手可能性などの要素の比較検討を行った。前年度の研究成果を踏まえて、本研究で使用するNPS受容体遮断薬をSHA68と決定し、合成方法について検討したあと合成委託を行う会社を決定し、物質を合成した。 また交付申請書において使用予定であった精神疾患動物モデルである、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体の選択的遮断薬であるMK-801を投与した動物については研究論文が発表されたため、いままで報告がなく学術的により重要性の高いうつ病モデルである学習性無力動物を使用することとし、モデルの作成を行った。このモデルは、逃避不可能な不快刺激(電気ショック)を反復して与えられることで、自分が不快刺激に対して無力であることを学習し、深いな刺激が与えられても逃避しなくなる行動をもって、うつ状態とみなすモデルである。過去のさまざまな研究者によって、本モデルは有効なうつ病モデルであり、抗うつ薬の投与によって状態が改善することも知られている。 ラットでは、報酬、快感、嗜癖、恐怖などに重要な役割を果たす側坐核にNPS受容体が発現していることが知られている。本研究では、まず、うつ病のモデル動物である学習性無力動物(ラット)の側坐核内にNPSを局所的に注入し、その後うつ状態の指標である学習性無力の改善があるかどうかを判定したところ、NPSは学習性の無力状態を改善する効果を示した。またNPS受容体遮断薬であるSHA68によってNPSの効果はブロックされたことから、NPSの効果はNPS受容体を介したものであるということができる。
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