2010 Fiscal Year Annual Research Report
64-Cuポジトロン核種を用いたiPS細胞トラッキング手法の確立
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21791171
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中島 崇仁 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 寄附講座教員 (70375559)
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Keywords | iPS細胞 / 64-Cu / 細胞・組織 / 放射線 / 再生医学 |
Research Abstract |
昨年度までの研究において64-Cuポジトロン核重をPTSM薬剤を用いて、標識薬剤の作成およびiPS細胞の標識、標識細胞のマウスへの投与・イメージングに成功した。 今年度は64-Cu以外で標識されたiPS細胞の生体内でのイメージングとさらに長期間に観察できる方法を検討した。最初の比較対象となるイメージングとしては18-F-FDGを用いたiPS細胞の標識・投与で、64-Cu標識に比べ、非常に鮮明な画像を得ることができた。FDGでの標識については細胞がもともと持っているブドウ糖輸送の能力を利用したため、40分のインキュベーションで細胞の標識ができ、非常に簡便であった。経時的な画像では投与後24時間以上の画像化は難しく、経時的な観測という点では64-Cu標識に劣っていた。 次にMRIでの画像解析について検討を進めた。生体の鉄イメージング製剤として用いられているSPIO(超常磁性酸化鉄)で、iPS細胞を標識した。iPS細胞内に鉄イメージング製剤を導入することで、さらに長期的な画像観察が実現できると考えられた。iPS細胞内への鉄イメージング製剤の導入には細胞培養容器内へ直接鉄イメージング製剤とプロタミン製剤を投与し、インキュベーションすることで行った。鉄標識iPS細胞の投与は尾静脈および左心室腔内経由で行われた。用いたMR装置は1.5T(テスラ)の磁場をもち、高感度な人用HEADコイルで画像化を行った。結果は良好な解剖学的構造のわかるマウスの全身像が得られたが、鉄製剤による画像の変化は非常に微小でその変化を確認することが困難であった。細胞の投与量およびMR装置の磁場強度(将来的には3T以上)の検討が必要なことがわかった。 本研究で64Cu-PTSMを用いたiPS細胞標識のイメージング手法は安定して画像を得る手段として確立できた。今後はこの方法を応用したさらなる研究推進が望まれる。
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