2009 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体モジュールを利用した新規p53阻害剤の開発
Project/Area Number |
21791218
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
森田 明典 Tokyo University of Science, 理工学部, 助教 (90334234)
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Keywords | p53阻害剤 / 放射線防護剤 / 金属錯体 / DNA損傷 / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究では、p53阻害に有効な亜鉛イオン配位性の錯体モジュールに、p53結合性モジュールを付加し、p53への特異性を高めたp53阻害剤の開発を目指している。 本年度は、p53阻害に有効な亜鉛キレート剤の評価選択を行った。用いた亜鉛キレート剤は、TPEN: Tetrakis (2-pyridylmethyl) ethylenediamine, Bispicen: Bis(picolyl)ethylendiamine, DPA:Dipicolylamine, TPA: tris(picoly)amine, Cyclen: 1,4,7,10-tetraazacyclododecaneの5種である。p53依存性の放射線誘発アポトーシスを示すヒトMOLT-4細胞を用い、アポトーシス抑制に有効な亜鉛キレート剤として、BispicenとTPAの2種の化合物が選出された。特に、Bispicenは、TPAと比べて低い細胞毒性を示した。 また、亜鉛イオンとの結合定数が7.57であるDPAが、p53の阻害やアポトーシス抑制効果を全く示さなかったのに対し、結合定数が11.5や16.8のBispicenやTPAがp53阻害剤として有効に機能したことから、亜鉛キレート剤によるp53阻害、およびアポトーシス抑制には、閾値以上の亜鉛結合定数が必要であることが示唆された。さらに、p53ノックダウン細胞を用いた解析から、BispicenやTPAによるアポトーシス抑制効果がp53特異的であることも明らかとなった。 次に、p53結合性ペプチドCDB3にBispicenを結合させたハイブリッド化合物合成試作品の放射線誘発p53依存性アポトーシス抑制効果も検討したが、試作品は細胞膜透過性が低く、十分な効果は得られなかった。そのため、現在は、膜透過性を高めるための改良型ハイブリッド化合物の合成を進めている。
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Research Products
(3 results)