2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791235
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
高橋 桃子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 博士研究員 (10531460)
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Keywords | がん幹細胞 / 放射線 / 低酸素 |
Research Abstract |
幹細胞用培地を利用して幹細胞マーカー陽性細胞を単離する方法について検討した。近年、複数の研究室(Griguer, CE et. al., PLOS one, 2007等)が、脳腫瘍に由来する細胞株を幹細胞用培地によって培養することにより幹細胞マーカー陽性細胞の集団を増加させることに成功している。そこで、文献に記載されていた複数の脳腫瘍細胞(u87mg、u251、A172細胞)について、幹細胞用培地を用いたマーカー陽性細胞の獲得を検討したが、複数の脳腫瘍細胞を使用した結果、明確な陽性細胞集団を得ることが出来なかった。然し、我々はA172細胞において一定の条件下で幹細胞の特徴であるneurospehreを形成する細胞群を発見したことから、これを持ってがん幹細胞とした。 これらのA172細胞より単離したneurosphere集団と非がん幹細胞集団に対して、γH2AXのfociを指標とした放射線誘発DNA損傷の修復能を比較した。具体的には、X線(2Gy)を照射した後、両者を直ちに幹細胞用培地中で6時間培養した。細胞を回収して核のγH2AXを免疫染色し、これを蛍光顕微鏡にて観察した。一群につき、最低100個以上の細胞について1細胞あたりのγH2AXのfoci数をカウントした。その結果、照射後6時間の経過で、foci数が10以上の細胞は非がん幹細胞において50%前後存在していたのに対し、neurosphere細胞においては10%前後と有意に減少した。また、細胞ごとのfoci数の分布を調べたところ、非がん幹細胞における1細胞あたりのfoci数の中央値は4.00であったのに対してがん幹細胞の中央値は1.77であった。また、生存率についても調べた結果、X線、重粒子線のいずれにおいてもneurosphere細胞が抵抗性を示した。
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