2010 Fiscal Year Annual Research Report
トリプルネガティブ乳癌悪性化形質におけるユビキチン依存性輸送系の役割
Project/Area Number |
21791265
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Research Institution | Miyagi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
多田 寛 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), 免疫学部, 共同研究員 (50436127)
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Keywords | 乳がん / トリプルネガティブ / EMT / 小胞輸送 / がん幹細胞 |
Research Abstract |
乳癌は比較的若年者に頻繁に発生することから、単に生命予後のみならずQuality of Lifeの観点からもその克服が急務である。特に、エストロゲン受容体(ER)陰性・プロゲステロン受容体(PgR)陰性かつHer2陰性のいわゆる「トリプルネガティブ乳癌(TNBC)」は特に予後不良であり、悪性形質発現の解析が必要である。癌の浸潤・転移には上皮-間葉転換(EMT)という過程が必須である。EMTでは癌細胞形質の変化が起こるが、この過程はESCRT細胞内輸送系によって制御されている可能性がある。そこで本研究では細胞内小胞輸送系、特にVps4等から構成されるESCRT系を介した悪性形質制御を解析した。不活型Vps4を発現する細胞株では、in vitroにおける形態変化、運動性の亢進に有意な差はなかったが、マウスにおける造腫瘍性が軽度亢進した。EMT誘導因子を発現させた乳がん細胞では、SP,CD44^+/CD24^<-/low>が2倍以上に増加した。トリプルネガティブ乳がんにおいてはESCRTがよく発現しており、癌幹細胞を増加させることにより悪性度を制御しうることが示唆された。
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