2009 Fiscal Year Annual Research Report
門脈圧亢進症における脾腫の分子メカニズムおよび肝脾相関の解明とその臨床応用
Project/Area Number |
21791296
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金城 直 Kyushu University, 大学病院, 臨床助教 (00507791)
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Keywords | 門脈圧亢進症 / 脾腫 / 肝内抵抗 / エンドセリン / 肝硬変症 |
Research Abstract |
肝硬変症に伴う脾腫の形成、肝脾相関に関しては未だ十分に解明されていない。日常臨床では硬変肝では脾臓を摘出すると肝機能が改善することや脾腫症例で脾動脈血流量は増加していることなど、これまでのうっ血による脾腫の形成では説明できない部分も多く、脾臓(脾腫)が門脈圧亢進症に対して積極的に関与している可能性が示唆される。我々は、著明な脾腫をきたすことで生じる特発性門脈圧亢進症患者の脾内において、preproendothelin-1(ppET1)、endothelin converting enzyme(ECE)、transforming growth factorβ(TGFβ)、tumor necrosis factorα(TNFα)のmRNAが亢進していることを発表してきた。また肝硬変モデルにおいて脾内は低酸素状態であるということを報告し、低酸素をきっかけとして、HIF1αの誘導、VEGFやET-1の発現亢進が脾腫の原因もしくは進行の一因となっている可能性を報告してきた。以上の研究成果に着目し、肝硬変症においても脾臓では同様の病態が生じている可能性がある。本研究は、門脈圧亢進症における脾機能亢進症の分子的メカニズムの解明とその臨床応用を目的としている。 今年度は、当科にて2005年1月~2010年2月に脾摘術を施行した肝硬変症(LC群,n=49)、特発性門脈圧亢進症(IPH群,n=4)、非門亢症群(nonPH群,特発性血小板減少性紫斑病n=4,脾外傷n=2,脾嚢胞n=2,他腫瘍合併切除n=3,その他n=2))症例を対象に、1.脾内におけるppET1,ECE,TGFβ,TNFαのmRNAの発現に関して、それぞれプライマーを作成、実験系を確立し、現在はその定量と解析、および、2.蛋白発現の定量(Western blotting)を行っている。
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