2010 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸器外科手術における赤外観察カメラシステムを用いた至適切除範囲の研究
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21791334
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
一ノ瀬 修二 東京医科大学, 医学部, 助教 (10424491)
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Keywords | 肺癌 / センチネル / 気腫性嚢胞 / 気胸 / 手術 |
Research Abstract |
【研究内容】平成22年度は『気腫性嚢胞を切除する際の至摘切除範囲の決定に関する研究』を行った。気胸や気腫性肺嚢胞のブラあるいは巨大ブラを切除する際に、同部を切り込む事で切除線近傍に脆弱部分が出現し、それらが破綻することで再発すると考えられている。そこで切除されたブラにインドシアニングリーンを局注し、それを赤外観察カメラシステムで捕捉することによってブラの領域を明確に同定する事が可能か臨床研究を行った。【方法】切除された嚢胞内に直接インドシアニングリーンを局注し、リアルタイムに切除ラインに嚢胞が掛かっていないか判定した。断端が陽性と判定されたものは、結紮、フィブリン製剤、PGAシート、酸化セルロースなどの後壁補強を行った。最終的に切除断端の判定を病理学的に検討し、本法によるものとの整合性を確認した。【結果】18例19側に施行し、全例男性で平均年齢は32.4歳(中央値は35歳)。気胸13例、巨大肺嚢胞5例、血気胸1例、右側11例、左側8例。以前に保存的治療を受けていたものが4例、手術療法は全例初回であった。切除断端が陰性と評価されたものは6例で、陽性が13例。うち巨大肺嚢胞5例は全例陽性、気胸は14例中8例が陽性(57.1%)。病理との正診率は84.2%。術中断端が陰性で病理学的に陽性と過小評価されたものが1例、術中断端が陽性で病理学的に陰性と過大評価されたものが2例あった。【考察】正診率は高く、術中評価としては有用と考えられた。巨大肺嚢胞は疾患特性上、切除断端が陽性になるものが多いと思われた。しかしながら気胸の切除断端陽性と判定されたものが57.1%と予想外に高く、本来考えられた切除ラインより大きい範囲の設定が必要であった。今後は切除ライン設定の工夫、観察方法の工夫、再発予防の工夫などを行う事で更なる精度の向上を図り、最終的には再発率の低下に寄与してくれればと考えている。
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