2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791336
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
川島 徹生 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (80386226)
|
Keywords | CD1脂質抗原提示系 / 肺癌 / γδT細胞 / 腫瘍免疫 / NKG2D / NK細胞 |
Research Abstract |
主要組織適合抗原(MHC分子)が蛋白由来のペプチド抗原を結合してT細胞に抗原提示する現象は近代免疫学における中心的パラダイムのひとつであり、ウイルスや細菌に対する感染防御のしくみがこのパラダイムに基づいて説明されてきた。これに対して最近の研究から、CD1と呼ばれる分子が非蛋白抗原である脂質を結合してT細胞に抗原提示することが明らかとなってきた。ヒトCD1分子(CD1a、CD1b、CD1c)は樹状細胞に発現し、脂質抗原を結合してT細胞に抗原提示する機能を担っている。脂質抗原を認識して活性化されるCD1拘束性T細胞は、主としてCD8陽性キラーT細胞であり、感染細胞やがん細胞にアポトーシスを誘導できることから生体防御との関わりが注目されているが、その詳細は未だ明らかではない。本研究は、肺癌組織におけるCD1a分子の発現を詳細に検討するとともに、肺癌病期・病態との関連について解析を行いCD1依存性免疫応答が担う腫瘍制御機構の実態を明らかにすることを目的としている。H21年度からH22年度の研究で以下が明らかになった。 (1)肺癌組織中へのNKG2D陽性細胞の浸潤を認めた。 (2)肺癌組織のCD1の発現と生存率に有意の相関を認めた。 NKG2Dは、NK細胞の活性化リセプターとして知られているが、CD1c拘束性γδT細胞にも発現している。肺癌にCD1aおよびCD1cが発現していることを認めたこと、さらにCD1c分子の発現と生存期間に有意の相関を認めることから、今後はNKG2D陽性細胞が、CD1拘束性である可能性にも着眼して、抗腫瘍免疫におけるCD1脂質抗原提示系の腫瘍制御機構を解明する。
|