2010 Fiscal Year Annual Research Report
人工骨における骨前駆細胞ホーミングのメカニズムと骨再生促進の研究
Project/Area Number |
21791406
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
熊谷 研 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10468176)
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Keywords | 人工骨 / 骨前駆細胞 / ホーミング / 骨再生 |
Research Abstract |
近年、自家骨の代用として人工骨が臨床で使用されつつある。骨誘導能をもたない人工骨に、骨前駆細胞を付加することで骨形成促進を期待することができる。人工骨に細胞を付加して移植後、骨形成に関与する細胞の由来については、全てがドナー由来とは限らず、レシピエント由来細胞がどの程度関与しているかは不明である。本研究では人工骨として、β-TCPの多孔体ディスク(気孔率75%,直径5mm×高さ3mm)を使用し、Selective cell retention法で骨髄単核細胞を付加した。付加した骨髄単核細胞平均41.8×10^6個のうち、平均18.4×10^6個が人工骨内に保持された。β-TCPディスクに細胞を付加したものと付加していないものを用意し、それぞれマウス背部皮下に移植した。移植後4週では細胞を付加した群でのみ骨形成が確認された。人工骨内におけるアルカリフォスファターゼ活性を示す領域は、細胞を付加した群で有意に高く、特にディスクの底面側1/2にみられる傾向にあった。 人工骨内におけるレシピエント由来細胞の領域は細胞付加群で平均36.2%、細胞なし群で平均31.1%であった。また、人工骨に細胞を付加した群においては、免疫組織化学的にケモカインSDF-1およびCXCR4の発現がみられた。今回の結果より、人工骨に骨髄細胞を付加することで、異所性に骨形成を生じることが確認され、その骨形成にドナーだけでなくレシピエント由来の骨前駆細胞が関与することが示唆されたが、隣接する局所の組織または末梢循環からのホーミングの可能性が考えられた。
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