2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトES細胞由来神経幹細胞による脊髄損傷治療法の確立
Project/Area Number |
21791414
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 勇一朗 Keio University, 医学部, 研究員(非常勤) (90365297)
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Keywords | 脊髄損傷 / ヒトES細胞 / 神経幹細胞 / 細胞移植 |
Research Abstract |
マウス脊髄損傷モデルへの移植と有効性の検討 移植細胞は京都大学より提供されたヒトES細胞(KhES1)を共同研究者の岡田らが開発した方法(未発表)で神経幹細胞に分化させたものを用いた。成体NOD/Scidマウスに胸髄圧挫損傷を作製し、損傷後9日目に細胞を移植した。移植後3カ月の時点でBMS score, Rotarod tredmilを用いた下肢運動機能評価では移植群で有意な機能改善効果を認めた。Neurometerを用いた感覚機能評価で、神経幹細胞移植に伴うとされるAllodyniaの発生は認められなかった。免疫組織学的解析で、移植細胞は移植後3カ月目で損傷脊髄内へ良好に生着しており、ニューロン(NeuN陽性:33.3%),アストロサイト(GFAP陽性:8.2%),オリゴデンドロサイト(APC陽性:3.6%)へと分化し、Nestin陽性(27.3%)の未分化細胞も存在した。これらニューロンはTH,ChAT,Isl1/2,GAD67陽性のneuronal transmitter phenotypeを含んでいた。また、human specific synaptophysinとrodent specific pre-synaptic markerの免疫組織染色から移植細胞とhost間のシナプス結合、RT97,GAP43陽性軸索の定量による軸索伸展効果、H.E.,LFB染色での脊髄萎縮と髄消化領域の定量による神経保護効果、PECAM-1,SMAによる血管誘導・新生効果を確認した。以上の効果が組み合わさることで下肢運動機能の改善がもたらされたと考えられた。今回の移植細胞はニューロン有意な分化傾向を示したが、我々のマウスES細胞由来神経幹細胞を用いた先行研究の結果ではニューロンよりもグリア有意な細胞を移植したほうがより大きな運動機能改善効果を得られることが分かっている。従って、ヒトES細胞由来神経幹細胞においてもよりグリア系細胞への分化傾向をもつものを移植細胞とすれば更なる改善効果が得られる可能性がある(平成22年度に実験予定)。また、移植後長期観察モデルについて現在詳細に解析中である。
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Research Products
(4 results)