2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨細胞ネットワークの健全性に着目した骨リモデリング開始機序の解明
Project/Area Number |
21791423
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藏田 耕作 九州大学, 工学研究院, 准教授 (00368870)
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Keywords | 骨細胞 / ネットワーク / 疲労亀裂 / 骨リモデリング / 細胞・組織 |
Research Abstract |
平成22年度はマウス下肢疲労亀裂モデルを用いて,力学的負荷による生体骨の応答に関する研究を行った.具体的には,麻酔下のマウス脛骨両端を把持して圧縮荷重を負荷するin vivoモデルおよび安楽死させたマウスから脛骨を摘出し,器官培養を行いながら脛骨両端へ圧縮荷重を負荷するex vivoモデルを確立した.いずれの圧縮刺激負荷装置も負荷荷重あるいは変位を制御しながら脛骨軸に対して繰り返し圧縮刺激を負荷できるように製作した. 実験に先立ち,圧縮負荷によって30週齢マウス脛骨表面に生じるひずみを計測した.脛骨anterior-medial面にひずみゲージを貼付し,0~25Nの範囲で圧縮負荷を与えたとき,ひずみはほぼ線形に0~0.11%まで増加することが分かった.この結果を元に,4,8,12Nの圧縮負荷を6000回/日,周波数2Hzの条件で7日間与えることとした.負荷の初日,3日目,6日目に骨動態を評価するための蛍光標識を投与した.負荷後,マウスを屠殺して脛骨のフクシン染色を行い,非脱灰組織標本を作製した. 標本観察、骨形態計測,力学的パラメータの計算,三次元有限要素モデルを用いた骨内応力分布の計算を行った結果から,12Nの圧縮負荷を与えた群では,(1)骨内膜側および骨膜側のいずれにおいてもlateralおよびposterior領域で有意な骨形成増加が見られること,(2)圧縮負荷に対して脛骨が曲げられる方向において力学的な骨強化が図られること,(3)lateralおよびposterior領域の皮質骨内部で疲労亀裂の発生が認められること,(4)この領域は有限要素モデルで計算したvon Mises応力が高い領域と一致すること,が明らかとなった. 以上の研究より,疲労亀裂による骨の材料力学的強度の低下が,骨膜や骨内膜表面での旺盛な骨形成によって短期間に補償されることが推察された.
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Research Products
(5 results)