2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞増殖因子を主軸とした変形性関節症の発生、進行機序の解明
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21791426
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Research Institution | Clinical Research Center for Allergy and Rheumatology, National Hospital Organization, Sagamihara National Hospital |
Principal Investigator |
田中 こなぎ 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 病態総合研究室, 研究員 (00393025)
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Keywords | 変形性関節症 / 血管内皮細胞増殖因子 |
Research Abstract |
本研究の目的はヒトの変形性膝関節症(OA)における臨床検体(関節液、関節軟骨、滑膜)の解析と動物実験によってOAにおける血管内皮細胞増殖因子A(VEGF-A)の関与を明らかにすることであった。昨年度までの研究によって関節液中でMMP-1,2,3の濃度が相関していることが見出された。本年度はさらに滑膜組織におけるこれらの発現について研究を進め、以下の知見を得た。 (1)末期のOA膝関節から採取した滑膜においてVEGF-Aの遺伝子発現レベルとMMP-1および3の発現レベルをqPCRで検討したところ、3つの遺伝子それぞれの間に有意の相関がみられた。 (2)OA滑膜において滑膜細胞を酵素消化により単離し、magnetic beadsによりCD14+および-の細胞を分離してqPCRによってMMPの発現を検討したところ、MMP-1および3の発現は主にCD14-の細胞によって担われていることが明らかとなった。 (3)OA滑膜における発現解析からVEGF-AとMMP-2、MMP-14の間にも発現の有意の相関があることが見だされた。VEGF-Aは血管内皮細胞に対してMMP-2、MMP-14の発現を亢進させることが知られており、これらの発現の相関はヒトのOA滑膜においてVEGF-Aが確かに何らかの作用を発揮していることを示す証拠と考えられた。 以上の知見から、現在我々はOAの滑膜病変においてVEGF-Aが重要な働きをしていることはほぼ確実と考えている。今後の課題は今回相関が見出されたVEGF-AとMMP-1および3の発現がどのような機序を介して関連しているかということである。これについては今後新たな研究課題として取り組みたい。
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