2010 Fiscal Year Annual Research Report
α2アゴニストの虚血後投与―低体温併用療法による脳保護作用の研究
Project/Area Number |
21791430
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 浩司 秋田大学, 医学部, 助教 (80333938)
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Keywords | 一過性前脳虚血 / 低体温 / デクスメデトミジン / 長期予後 |
Research Abstract |
【背景・目的】我々は平成21年度、デクスメデトミジンの虚血後投与と低体温療法との併用効果を検討したが、短期予後において併用効果は認められなかった。短期予後で併用効果が認められなければ長期予後においても認められない可能性が高い。したがって今回、以前の検討で神経学的に短期的併用効果が認められたデクスメデトミジン虚血前投与と低体温療法との併用効果の長期的予後の評価を行った。【対象】雄Sprague-Dawleyラット32匹。【方法】麻酔導入後、気管挿管し調節呼吸とした。66%亜酸化窒素とフェンタニルの10μg/kg単回投与及び25μg/kg/hの持続投与により麻酔維持した。側頭筋温37.5℃にて循環諸量を測定した後、対照(C)群(生食1ml/kg)、デクスメデトミジン100μg/kg(側頭筋温37.5℃)(D)群、低体温(35℃)(H)群、デクスメデトミジン100μg/kg+低体温(35℃)(DH)群の4群に分け、薬物または生理食塩水の腹腔内投与30分後に脱血により平均動脈圧を40mmHgに維持し、右総頚動脈閉塞により右側前脳虚血状態とした。20分後、頚動脈閉塞解除と返血により脳の再灌流を行った。虚血1、3、7、14、21、28日後に神経学的検査を行った。虚血28日後に脳灌流固定後、脳冠状切片にヘマトキシリン染色を行い、光学顕微鏡的に海馬、大脳皮質、尾状核被殻の虚血脳障害の程度を比較した。【結果】右大脳皮質の障害は、C群に比べH群、DH群で有意に少なかった。右海馬CA1領域の生存細胞数は、C群に比べD群、H群およびDH群において有意に多く、DH群において最も多かった。【まとめ】ラット一過性前脳虚血モデルにおいて、デクスメデトミジンと低体温療法はそれぞれに脳保護効果を認め、併用療法により海馬CA1細胞における脳保護効果の増強が認められた。
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