2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791439
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
生駒 美穂 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30432082)
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Keywords | 疼痛 / 脊髄 |
Research Abstract |
神経ステロイドは痛覚の伝達に関与する脊髄後角にも神経ステロイド合成酵素は存在しており、神経ステロイドは脊髄レベルで疼痛をコントロールする物質ではないかと注目されている。そこでラットの脊髄標本を用いて電気生理学的手法(パッチクランプ法)を行い、脊髄後角における神経ステロイドの痛覚伝達に関するメカニズムについて調べることを目的とした。成熟ラットより腰仙部脊髄を摘出し、冷却クレブス液中でマイクロスライサーを用い脊髄横断スライス標本を作成し、脊髄後角細胞からホールセルパッチクランプ記録を行った。保持膜電位を静止膜電位付近に固定し、神経ステロイドDHEAの灌流投与で自発性の興奮性シナプス後電流の大きさと発生頻度がどのような変化を受けるか観察した。その結果、電流の大きさは変化しなかったが発生頻度が増加することが確認された。神経ステロイドDHEASについても同様な実験をおこなったところ発生頻度が増加することが確認された。この結果から神経ステロイドDHEAおよびDHEASはシナプス前に作用し、興奮性伝達物質の放出を促進することが分かった。つまり、興奮性シナプス伝達の促進が認められると考える。今後はこの作用を及ぼすメカニズムに関して、どのような受容体やチャネルを介するのか調べる予定である。また炎症性疼痛または神経因性疼痛モデルラットを作成し、同様の実験を行い、正常ラットと比較する予定である。神経ステロイドは内因性リガンドであるため、この脊髄後角における疼痛促進作用が明らかになれば、神経ステロイドを減少させるような合併症の少ない治療薬開発にもつながる可能性がある。
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