2009 Fiscal Year Annual Research Report
人工呼吸中の気道上皮免疫機構におけるGABAB受容体の役割
Project/Area Number |
21791444
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
杉山 陽子 Gifu University, 医学系研究科, 助教 (70444255)
|
Keywords | シグナル伝逹 / 免疫 / 気道 |
Research Abstract |
培養気管上皮細胞の一種であるNCI-H292細胞を継代培養して実験に使用した。細胞に炎症性サイトカインTNF-aやエンドトキシンLPSで刺激して18時間インキュベーションし培養液中に産生、分泌されたインターロイキン8の濃度をELISA法を用いて測定した。TNF-aは濃度依存性にインターロイキン8の産生を促進させた。次にGABA受容体を介して作用するといわれている麻酔薬のプロポフォールで前処置を行い同実験をすると、プロポフォールによってTNF-aの作用は増強され、この作用はGABAA受容体拮抗薬によって抑制された。この作用機序を解明するためにウェスタンブロット法を用いた実験を行い、プロポフォールがTNF-aによるp44/42 mitogen-activated protein kinase (MAPK)のリン酸化をGABAA受容体を介して増強していることが判明した。GABAB受容体拮抗薬を使用した実験データを現在収集中である。 気道上皮細胞や気管平滑筋にGABA受容体が発現していることをわれわれは以前報告しているが、その機能は不明であった。今回の研究により気道上皮における免疫機構にGABA受容体が関与していることが示唆された。気道上皮におけるインターロイキン8の産生は好中球遊走を惹起して炎症カスケードを進行させる可能性が考えられる。より明確な作用機序を解明することで周術期や集中治療領域での気道炎症に対してGABA受容体作動薬、拮抗薬が将来応用できる可能性がある。 麻酔薬はGABA受容体を介して作用するものが多いと考えられているが、今回の研究から中枢神経系への作用のみならず、非神経系の末梢組織にも重要な影響をもつ可能性が示唆された。
|
Research Products
(2 results)