2010 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシスとネクローシスの鑑別による局所麻酔薬の細胞致死機序の解明
Project/Area Number |
21791457
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
細川 信子 宮崎大学, 医学部, 助教 (10418840)
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Keywords | リドカイン / HL60 / 腫瘍特異性 / フリーラジカル |
Research Abstract |
腫瘍細胞におけるリドカインのアポトーシス誘導機序は不明であり、その腫瘍特異性も不明である。そこで、リドカインのアポトーシス誘導時にみられるミトコンドリアの脱分極と細胞内pHのを蛍光イメージング法で同時に記録した。さらに、リドカインのアポトーシス誘導に関してヒト正常白血球と培養腫瘍細胞(HL60:ヒト骨髄性白血病細胞)を比較した。方法:ミトコンドリア膜電位感受性蛍光プローブJC-1および細胞内pH測定用蛍光プロープHPTSでミトコンドリア膜電位と細胞内pHを同時測定した。アポトーシス細胞数は、アネキシンおよびヨウ化プロピジウム(PI)で二重染色し、フローサイトメトリー(FACS)を用いて測定した。細胞内ATP濃度をルシフェラーゼ・ルシフェリン法およびルミノメーターで測定した。結果:ミトコンドリア膜電位と細胞内pHは密接に相関した。リドカインをはじめとした局所麻酔薬は非荷電型が細胞内で荷電型になる際、細胞内の水素イオンと結合することで細胞内pHが上昇すなわち、細胞内がアルカリ化し、これにより、ミトコンドリア膜電位が脱分極し、ミトコンドリア経路のアポトーシスのトリガーとなることが判った。リドカインは臨床使用濃度以下からHL60細胞特異的にアポトーシスを誘導することを観察した。一方、正常白血球においては、このリドカイン濃度における著明な細胞死は認めなかった。リドカイン暴露で、HL60細胞により有意にミトコンドリアの膜電位、活性酸素産生量、カルシウム濃度の増加および細胞内ATP濃度の低下が見られた。CCCPなどミトコンドリア脱共役剤を用いた実験でもリドカインと同様の結果を得た。結論:リドカインは、ミトコンドリア活性を抑制することで腫瘍特異的に強力な腫瘍細胞致死作用を有する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)