2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791602
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
宮尾 益道 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00529620)
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Keywords | 内耳免疫 / 音響外傷 / 内耳炎 |
Research Abstract |
以前より免疫反応には自然免疫系と獲得免疫系が知られているが、内耳でも自然免疫と獲得免疫双方が関与していることが示唆されている。自然免疫において活性化されるシグナル伝達は、ストレスや細胞障害においても生じると考えられている。本研究の目的は、内耳が遭遇する大きなストレスである音響暴露が獲得免疫を増幅し、蝸牛局所の免疫応答に影響を与える機序について免疫組織学的手法を中心に解明することにある。 当初の目標は実験的内耳炎モデルの作成し、手技を確立させることであった。全身感作させたマウスの蝸牛に獲得免疫を惹起させる抗原を投与する経路は様々であるが、卵円窓経由による投与法により外科的侵襲をできるだけ減らしながら内耳炎を十分惹起できることが確認された。 次に内耳炎モデルの蝸牛凍結切片標本を作製し、免疫組織化学的検討を行った。結果、蝸牛内の炎症細胞浸潤が確認された。マウスは比較的安価で、内耳の解剖から見ても本研究に有用な動物種と考えられるが、内耳構造は非常に小さいため抗原投与は困難であった。手技の確実さを考えるとラットなどのより大きい動物種での研究も考慮すべきと考えた。 音響暴露では期待された炎症反応の増幅はあまり確認されなかった。申請者が米国にて行った時にはオクターブバンドノイズを用いたが、今回はピュアトーンであり音圧レベルも米国で使っていた118dBまでの暴露は十分与えることができなかったためにあるかもしれない。しかし、音の種類による炎症反応の違いは興味深い知見であると思われた。
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