2009 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚受容に重要な働きをもつ感覚糸構成分子の代謝動態に関する研究
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21791634
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
坂口 博史 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (00515223)
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Keywords | tip link / 有毛細胞 / 内耳 / カドヘリン / 機械電気変換 / 不動毛 / 聴覚 / 再生 |
Research Abstract |
有毛細胞頂側面には感覚受容のために特殊化した微絨毛である不動毛が存在し,その頂部にある機械電気変換(MET)複合体がMETの中心的役割を果たしている.MET複合体には感覚糸(tip link)と呼ばれる特有のフィラメント構造が存在し,不動毛の偏位により発生する張力をイオンチャネルに伝達することでMETを仲介している,鳥類ではtip linkが障害された後に自然再生することが知られているが,ほ乳類においてtip linkが再生しうるかどうかについては未だ明らかでない,本研究では蝸牛感覚上皮の器官培養システムを用いて,有毛細胞におけるtip linkの再生の可能性を検証した.Ca^<2+>キレーターによりtip linkを切断した後にCa^<2+>を再添加して48時間培養し,SEMを用いて観察したところ,蝸牛内有毛細胞においてtip linkの再生を示す所見が認められた.Tip linkの再生は外有毛細胞では確認できず,細胞種によってtip link再生能に差があると推測された.また,出生後早期の有毛細胞の形態を経時的に観察したところ,外有毛細胞の頂側面はtip linkが成熟する時期である生後1週間に特徴的な形態変化を示すことが判明した.tip link構造の成熟は不動毛内のシグナルを介して細胞頂側面に伝達され,細胞骨格の再構築を促す可能性が示唆された.今回確立された器官培養モデルを用いてtip link構成分子であるcadherin23およびprotocadherin15の挙動を観察することで,ほ乳類におけるtip link再生のメカニズムが解明されると期待される.さらに同モデルをより発生早期の蝸牛に適応することで,これらの分子が細胞頂側面の形態形成の制御に与える影響について明らかにできると期待される.
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Research Products
(1 results)