2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺炎球菌性中耳炎における細菌のフェーズ変化と重症化病態の解明
Project/Area Number |
21791638
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
上野 ゆみ Wakayama Medical University, 医学部, 博士研究員 (10445091)
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Keywords | 肺炎球菌 / 耐性化 / 急性中耳炎 |
Research Abstract |
急性中耳炎は乳幼児期に最も頻回に遭遇する細菌感染症の一つであり、肺炎球菌は急性中耳炎をはじめとする非侵襲性の上気道感染症から重症肺炎や髄膜炎などの致死的侵襲性感染の起炎菌となる。肺炎球菌は莢膜構造が薄く、透光性の高いTransparent型コロニーと、莢膜構造が厚く、透光性の低いOpaque型コロニーの2つのコロニー形態を示す。Opaque型肺炎球菌は、その厚い莢膜構造のため、補体結合性が低く、オプソニン化後の貪食処理に抵抗を示すとともに、局所組織内に長期に存在することに適する。一方、Transparent型肺炎球菌は、莢膜が薄く、細菌の付着因子の発現が高いとされ、肺炎球菌が上皮細胞に付着することにより有利に働くと考えられる。急性中耳炎患児より得られる鼻咽腔および中耳貯留液から分離される肺炎球菌株においてOpaque型、Transparent型のフェーズ変化が存在するかを検討した。その結果肺炎球菌は中耳貯留液中でOpaque型優位で存在しており、さらに鼻咽腔と中耳では遺伝子学的に同一菌であった。このことから肺炎球菌は、莢膜構造を変化させることで環境に適合し、巧妙に宿主の免疫防御機能から逃れ急性中耳炎を発生する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)