2010 Fiscal Year Annual Research Report
扁桃リンパ球産生の糖鎖不全IgA1と糸球体沈着メカニズムの解明
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21791640
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
伊藤 昭彦 北里大学, 医学部, 非常勤講師 (10317026)
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Keywords | IgA腎症 / 扁桃 / ムチン型糖鎖 / マンノース / N-結合型糖鎖 / ヒンジ部 / 3次元マップ法 / シアル酸 |
Research Abstract |
近年、IgA腎症患者ではIgA1のヒンジ部のO-結合型糖鎖の糖鎖不全の報告を認めており、IgA腎症の発症に関わっていることが示唆されるようになった。この糖鎖不全型のIgA1の産生源として扁桃等の粘膜免疫が関与しているのではないかと考えられる。一方、マウスのIgAのN-結合型糖鎖の糖鎖不全でIgA腎症様の病態をきたしたという報告も認められる。これらのことから血清IgA1と異常IgA1(糖鎖不全IgA1親和性カラムにより血清から回収したもの)と扁桃のIgA1のN-結合型糖鎖について3次元マップ法を用いて分析を行った。 健常者血清(購入したもの)、健常者血清より回収した異常IgA1、扁桃炎患者2例の摘出扁桃から抽出したIgA1を用いた。N-結合型糖鎖の基本的な組成は3つの検体においてほとんど同じであったが、異常IgA1では、中性型のN-結合型糖鎖が血清や扁桃に比べ増加していた。すなわち、では高マンノース型が血清や扁桃では5-6%であったのに対し異常IgA1は25%に認めた。また、異常IgA1と扁桃IgA1ではフコースを多く含む混成型を多く認めた。異常IgA1と扁桃IgA1ではO-結合型糖鎖だけでなくN-結合型糖鎖にも血清糖鎖とは組成が異なるものが認められた。すなわち、異常IgA1では中性の混成型と高マンノース型が多く、シアル酸が少ない。これらの結果はO-結合型糖鎖の不全によって生じる凝集に都合が良いのかもしれない。 扁桃IgA1と異常IgA1とでは、N-結合型糖鎖に類似性も認めるが、違いも認める。これらの結果では異常IgA1は扁桃由来なのかどうかは今のところ不明であり、今後の検討が必要である。
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Research Products
(1 results)