2009 Fiscal Year Annual Research Report
蝸牛虚血再灌流時における内リンパカルシウムイオンの役割
Project/Area Number |
21791653
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
森 京子 Osaka Medical College, 医学部, 助教 (40368105)
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Keywords | 蝸牛内直流電位 / 辺縁細胞 / 無呼吸負荷 / 利尿剤 / L型Ca^<2+>チャネル / TRPCチャネル |
Research Abstract |
平成20年度は血管条辺縁細胞側基底膜に存在するCa^<2+>テヤネルの蝸午直流電位(EP)の維持における役割を、電気生理学的、免疫組織学的手法を用いて検討した。1)内リンパ腔に膜透過性Ca^<2+>キレート剤(EGTA/AM)を投与すると、無呼吸負荷および静脈内への利尿剤投与によるEP低下が有意に抑制された。したがって、これらによるEP低下には辺縁細胞内Ca^<2+>濃度上昇が関与することが示唆された。2)内リンパ腔にL型Ca^<2+>チャネル阻害剤であるニフェジピンを投与すると、無呼吸負荷によるEPの低下が有意に抑制されたが利尿剤投与によるEP低下は抑制されなかった。3)内リンパ腔にL型Ca^<2+>チャネルおよびTRPCチャネル阻害剤であるSKF96365を投与すると、無呼吸負荷および利尿剤投与によるEP低下が有意に抑制された。4)TRPCチャネルの特異的阻害剤であるBTP2を内リンパ腔に投与すると、利尿薬投与によるEP低下が有意に抑制された。5)蛍光抗体法により、辺縁細胞側基底膜にL型Ca^<2+>チャネルおよびTRPC3/6/7チャネルの強陽性反応が観察された。以上より、辺縁細胞にはL型Ca^<2+>チャネルおよびTRPC3/6/7チャネルが存在し、無呼吸負荷時にはL型Ca^<2+>チャネルが開孔することで、また利尿剤投与時にはTRPC3/6/7チャネルが開孔し、これによる辺縁細胞内Ca^<2+>濃度上昇がEP発生機構に影響をもたらすことでEPが低下するものと考えられた。したがって、辺縁細胞内のCa^<2+>はEP調節の主因子として働いていることが明らかとなった。
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