2010 Fiscal Year Annual Research Report
網膜グリア細胞及び脂肪幹細胞を用いた新しい網膜移植治療の開発
Project/Area Number |
21791661
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高宮 央 旭川医科大学, 医学部, 特任講師 (50400114)
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Keywords | 網膜移植 / グリア細胞 / 脂肪細胞 / ドナー細胞 / GFPマウス / アストロサイト |
Research Abstract |
研究の目的:ヒト成塾網膜神経細胞は自己増殖能を殆ど有さない。そのため、種々の網膜疾患によって引き起こされる網膜障害は永久的な視力障害を生じる。これらの障害に対して、網膜移植治療は最も有用な治療法である。しかし、網膜移植の有用なドナー細胞は未だ存在しない。よって、新しいドナー細胞の開発は、現在網膜移植治療の最重要課題となっている。そこで今回我々は、幹細胞の特性である分化能と再性能を併せ持ち採取が簡便な脂肪細胞に着目し、これらが網膜移植の新しいドナー細胞に成り得るかどうかを検討した。研究実施計画:マウスから採取した脂肪細胞をコラゲナーゼ処理した後、網膜下又は硝子体腔内に脂肪細胞を移植しその生着率を検討した。研究の成果:硝子体腔内投与および網膜下移植どちらの移植経路においてもドナー細胞を網膜内に観察する事が可能であった。そして、硝子対腔内の移植方法がより多くの生着細胞を観察する事が可能であり、生着細胞の一部は、網膜表層において突起伸展を示し、脂肪細胞とは細胞形態はまったく異なる別の細胞に分化していた。その細胞形態は網膜表層に常在するアストログリア細胞と類似していた。次にグリア細胞特異的抗体であるGFAP抗体を用いた免疫組織化学法を行った所、移植した脂肪細胞はグリア細胞特異的物質を発現しており、脂肪細胞がアストログリア細胞に分化しる事が判明した。一方、網膜神経系の細胞へ分化した移植脂肪細胞はほとんど観察できなかった。以上より、脂肪細胞はグリア細胞への分化能を有している事が本研究から明らかとなった。
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Research Products
(7 results)