2010 Fiscal Year Annual Research Report
新たに同定した肝類洞内皮細胞のB細胞免疫制御機構の解明と抗体性拒絶制御法への展開
Project/Area Number |
21791731
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
五十嵐 友香 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 研究員 (10531692)
|
Keywords | 移植・再生医療 / 外科 / 糖鎖 / トランスレーショナルリサーチ / 免疫 |
Research Abstract |
血液型不適合移植ではグラフト内表出血液型糖鎖抗原が標的となり、激しい抗体性拒絶反応が生じる。ヒト肝組織では、肝類洞内皮細胞(LSEC)に血液型糖鎖抗原が強く発現している。これまでに、LSECがアロ応答性T細胞を細胞間接触により寛容化することを我々は報告している。そこで、血液型糖鎖抗原発現LSECが、糖鎖抗原認識B細胞に対しても寛容化を誘導する可能性について検討した。血液型糖鎖抗原と構造が類似したGal抗原ノックアウトマウス(GalT-/-)と野生型マウス(GalT+/+)を用いた。GalT-/-マウスの血清中には、抗Gal自然抗体が検出される。野生型マウスから分離した抗原表出GalT+/+LSECをGalT-/-マウスへ移入し、移入後4週目にGal抗原で免疫した。GalT-/-LSEC移入群では著しく抗体が産生されIgMからIgGへのクラス変換も確認された。しかし、GalT+/+LSEC移入群では抗体産生は優位に抑制された。また、これまでアロ応答性T細胞に対する肝類同内皮細胞の免疫寛容のメカニズムとしてFas-Fas ligand pathwayが示唆され、この経路の活性化に伴い応答性T細胞が細胞死に陥るとされている。しかし、Fas ligandノックアウトマウスのLSECを用いても抗体産生は抑制されたままであった。また、近年、肝臓に関わる疫寛容能にはPDL-1/PD-1 pathwayが寄与しているという報告が散見されることから、抗PDL-1抗体を用いて検討を行った。結果、肝類洞内皮細胞のB細胞に対する免疫寛容のメカニズムはFas-Fas ligand pathwayよりもPDL-1/PD-1 pathway優位であることがわかった。
|
Research Products
(5 results)