2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791738
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯田 拓也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00398603)
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Keywords | 毛髪再生 / 毛包再生 / 細胞移植 / ビタミンD / Sphere |
Research Abstract |
毛や禿髪は遺伝的、外傷、ホルモン、薬物治療などさまざまな原因で発生するが、とりわけ男性型脱毛症は罹患率が高く、治療の需要は高まっている。今回毛乳頭細胞が毛包誘導能を有する点に着目し、培養によって数千から数万倍に増殖させた細胞を用いて毛包再生する治療の開発に取り組んだ。治療の開発にあたっては下記の3つの要素:(1)毛包誘導能を維持する安全な培養方法、(2)最適な移植体の選択、(3)最適な移植方法を中心に考えた。まず、ラットを用いて(3)の実験をおこなった。移植部の皮膚を100ミクロンから400ミクロンの分層で剥離し、その分層皮膚を薬剤処理して表皮部分と真皮部分に分離して、表皮部分のみを使用し、真皮部分は廃棄する。分離した表皮部分は、採皮部の露出した残りの真皮の上に移植するが、その際に毛乳頭細胞もしくは組織を真皮の上に移植し、その上から表皮を移植して毛包形成および体外に発毛させることに成功した(Aoi N, J Tissue Eng Regen Med.2011)次に(1)に取り組んだが、速やかに細胞を増殖させるためにはbFGFおよびPDGFの培地への添加が有効であった。また、VD3はin vitroの実験で培養ヒト毛乳頭細胞において細胞内Vitamin D receptor (VDR)を介して24-48時間後にWnt10b, ALP, TGFβ-2のmRNAの発現を亢進させ、ラットをもちいたvivoの実験で毛包誘導能を亢進させる作用があることがわかった(論文投稿中)。最後に(2)についてであるが、毛根鞘の細胞に多能性幹細胞が含まれ、培養毛根鞘細胞にはおよそ2%の含有率であることが明らかになった。その割合は細胞を浮遊培養し一度sphereを作ることで増加させることができる。この細胞を移植体に混合して移植することで、さらに誘導率を改善できるものと考えている。現在治験の準備も並行して行われているが、これらの基礎実験は臨床治験を始める重要な資料となり、近い将来ドナーの犠牲を最小限に抑えた毛包再生療法が実現するものと思われる。
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Research Products
(5 results)