2009 Fiscal Year Annual Research Report
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21791763
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 逸郎 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特任研究員 (80334225)
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Keywords | 緊急生命維持装置 / 血液ポンプ / トルコンポンプ / 数値流体解析 / TCP / 溶血試験 / ELSS |
Research Abstract |
本研究では、ハンディタイプの緊急生命維持装置の実用化を目指して、ハンディタイプの緊急生命維持装置に適した新たな血液ポンプとして、人工肺との接続に適した入出力ポートを持つトルコンポンプの開発を行う。今年度はトルコンポンプの数値流体解析、構造決定モデルの試作、構造決定用ポンプのin vitro試験を行った。トルコンポンプの数値流体解析はトルコンポンプの3次元モデルを作成し、コンピュータシミュレーションによりポンプ流量を変えつつポンプ内の流速分布・圧力分布・シアストレス分布などについて計算を行った。ポンプ内部で流体が回転に伴い渦を巻く様子が見られ、摩擦ポンプ同様に低流量かつ高揚程なポンプであることが示された。また澱み等は見られず、ポンプ室の入口から出口までに数回から十数回の渦が巻いており、抗血栓性・溶血特性ともに優れた性能を持ちうることが示された。トルコンポンプの数値流体解析の結果を受け、構造決定モデルを試作し、構造決定用ポンプのin vitro試験を行った。構造決定モデルでは回転羽への動力伝達は、Vリングを用いてシャフトをシールし、モーター軸と直結することで実現した。またポンプ室内部は抗血栓性・溶血特性の向上のため鏡面研磨を行った。模擬循環回路を用いてポンプ特性試験を行ったところ、回転数1600rpmで圧負荷500mmHgに対して81/min以上の流量が得られた。また通常使用状態である圧負荷350mmHg・流量51/minは回転数1300rpm以下で実現できた。牛血を用いて圧負荷100mmHg・流量51/minで溶血試験を行ったところ、回転数は730rpmとなり、NIH(normalized index of hemolysis)は0.0017となり、溶血特性は市販の遠心ポンプの5分の1程度まで下げられていることが示された。
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