2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791763
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 逸郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特任研究員 (80334225)
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Keywords | 緊急生命維持装置 / 血液ポンプ / トルコンポンプ / TCP / 溶血試験 / ELSS |
Research Abstract |
本研究では、ハンディタイプの緊急生命維持装置を実用化を目指して、ハンディタイプの緊急生命維持装置に適した新たな血液ポンプとして、人工肺との接続に適した入出力ポートを持つトルコンポンプの開発を行う。平成22年度はポンプ駆動系の試作、完成モデルの試作、完成モデルでの試験を行った。ポンプ駆動系に関しては、流量・差圧に関して51/minで350mmHg以上と高い出力が要求されていることを鑑みて、100W以上のモーターを用いて実現した。また、患者の状況により必要とする補助量は大きく変動するため、容易に回転数を調節するためコンソールを作製し、10rpm単位で回転数調整を実現するとともに、過負荷の発生などモーター側の情報表示も実現した。また、駆動力の伝達には血液回路がモーターから容易に分離できるように、マグネットカップリングを用いて実現した。トルコンポンプは定回転で高い出力が得られるため、その駆動に際して大きなトルクが必要となる。そこで、カップリング用のマグネットにネオジムを用い、十分なカップリング力を得られるようにした。各々で開発したポンプ、マグネットカップリング、モーター、コンソールを組み合わせて差圧流量特性試験および溶血試験を行った。流量差圧に関しては昨年度の研究で得られた成果同様、回転数1300rpmで流量51/min、差圧350mmHgを実現できた。また、マグネットカップリングに関しては、出力を上げたり、急激に変動させたりしても脱調することなく駆動力の伝達が行えていた。溶血試験に関しては差圧が低い状態ではNIHが0.0017と低い結果が得られたが、差圧を350mmHgと高くしたところ、NIHは0.14と非常に高い値となった。この原因としてはモーターの発熱によるものと考えられる。血栓形成に関しては熱によるものと思われる血栓が一部で見られたが、モーターの発熱の影響がない場合には、ポンプ内に血栓は見られず、抗血栓性に関して十分な性能を有していることが確認できた。
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