2009 Fiscal Year Annual Research Report
Fgf23遺伝子の発現を制御する新規遺伝子の検索と機能解析
Project/Area Number |
21791782
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
玉村 禎宏 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 特任助教 (70431963)
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Keywords | Fgf23 / 骨細胞 / リン代謝 / マウス |
Research Abstract |
Fgf23は、主に骨細胞から分泌され、腎臓を標的とするホルモンとして機能する。多くの遺伝性リン代謝疾患においてFgf23発現が上昇することやFgf23遺伝子の活性型変異により低リン血症性骨軟化症を誘発することから、Fgf23はリン代謝において中心的な役割を果たす。しかしFgf23遺伝子の発現調節機構は全く解明されていない。本研究では、血中リン濃度の変動に反応してFgf23遺伝子発現を調節する因子を同定することを目的とする。まず予備実験として、Fgf23発現を鋭敏に変化させる実験系の確立を試みた。4週齢マウスに高リン食を与え、3、6、12および24時間後の頭蓋骨におけるFgf23発現をreal-timePCR法により検討した。コントロール食摂取群と比較して、高リン食摂取3、6、12、24時間後には、それぞれ約2倍、6倍、4倍、2倍のFgf23発現上昇がみられた。高リン食摂取6時間後の長管骨ではFgf23発現上昇はみられず、24時間後に約2倍の発現上昇がみられた。これらの実験結果より、Fgf23発現調節因子の探索には、高リン食摂取6時間後の頭蓋骨における遺伝子変化を比較検討することが適切であると考えられた。高カルシウム食摂取マウスにおいてもFgf23発現上昇が報告されているが、その上昇には1週間以上必要とされる。本研究で用いた高リン食摂取マウスでは、約3時間で発現上昇が誘導できることから、このマウスモデルは直接的なFgf23発現調節機構が検討できると考えられる。また、マウス頭蓋骨の器官培養液やUMR-106細胞の培養液中のリン濃度を変化させてもFgf23発現に影響はなかったことから、高リン負荷によるFgf23発現の変化は生体の骨組織においてのみ観察されると考えられた。また、Fgf23の遺伝子座にLacZをknock-inし、内在性Fgf23発現を検討したマウスでは、骨細胞以外に頭蓋骨の縫合部においても強い発現がみられることが報告されている。今後は、FgF23発現調節機構の解明だけでなく、血中リン濃度の変動に応答してFgf23発現を誘導する細胞の同定も検討していく予定である。
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Research Products
(2 results)