2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌の宿主細胞への侵入における真菌の増悪効果に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
21791795
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
玉井 利代子 奥羽大学, 歯学部, 助教 (90367566)
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Keywords | 歯周病原性細菌 / Porphyromonas gingivalis / 侵入 / Candida albicans / 歯周病 / 混合感染 |
Research Abstract |
本研究では、歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalisによる歯周組織構成細胞をはじめとした宿主細胞への侵入機構と口腔常在の真菌であるCandida albicansまたはその菌体成分によるP.gingivalisの侵入増強メカニズムを明らかにすることを目的として、これら細菌の侵入にかかわる宿主細胞のタンパク質分子の動態ならびに関連する菌体成分について探索した。 本年度は以下の結果が得られた。(1)C.albicans加熱死菌(HKCA)またはC.albicansから抽出された水溶性マンナン・グルカン複合体(CAWS)による、歯肉癌上皮細胞Ca9-22の接着分子β1インテグリンとICAM-1発現の増強はみられなかった。歯肉線維芽細胞でも同様の結果だった。(2)HKCAまたはCAWSによる前処理によるP.gingivalisの、Ca9-22細胞または歯肉線維芽細胞への接着の増加はなかった。(3)しかしながら、HKCAまたはCAWSによる前処理によって、P.gingivalisのCa9-22細胞または歯肉線維芽細胞への侵入が著しく増加した。(4)一方、Ca9-22細胞はdectin-1をわずかに発現していたが、dectin-2発現はほとんどみられなかった。歯肉線維芽細胞でも同様の結果がみられた。以上の結果から、C.albicansは、dectin-1を介してP.gingivalis,の宿主細胞への侵入を増加することにより歯周病を増悪することが考えられる。
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