2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791802
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
森脇 佐和子 National Institute for Longevity Sciences,NCGG, 遺伝子蛋向質解析室, 流動研究員 (90399593)
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Keywords | Toll様受容体 / 菌体成分 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
破骨細胞は骨芽細胞が産生する破骨細胞誘導因子(RANKL)の刺激を受け、成熟破骨細胞へと分化し骨吸収能を発現する。しかしながら、内因性のTNF-αや外因性の細菌由来成分、いわゆる免疫反応に関わる要因によっても破骨細胞誘導が起こることから、炎症(免疫)と破骨細胞分化は密接な関係があるものと考えられる。我々は、菌体成分により誘発される破骨細胞誘導のメカニズムが異なることを見いだした。そこで本年度は、菌体成分であるLPSとPam3、すなわちTLR4とTLR2を介した破骨細胞誘導およびサイトカイン産生にっいて検討を行った。 破骨細胞分化誘導は、マウスマクロファージ細胞株RAW264.7またはマウス骨髄由来マクロファージ(BMM)を用い、破骨細胞をTRAP染色により検出した。細胞を低濃度のRANKLで刺激後、LPSまたはPam3を添加するとTRAP陽性多核細胞が多数誘導された。さらに、LPSまたはPam3のみを細胞に添加した場合、TRAP陽性多核細胞はPam3刺激のみでも誘導されることが明らかとなった。この誘導は、BMMよりもRAW264.7でより顕著であった。これらの分化誘導系で産生されたサイトカイン(IL-1β,IL-6,TNF-α)についてELISA法を用いて測定した。RANKLのみで刺激した場合と比較した結果、低濃度のRANKL刺激後にLPS刺激またはLPSのみで刺激した細胞は、いずれのサイトカインも著しく高値であった。一方Pam3は、単独刺激ではいずれのサイトカインもLPSと同様に高値を示したが、RANKLで前処理した場合はRANKLのみ刺激した場合と同程度の産生量であった。このことから、LPSまたはPam3のみで刺激した場合の破骨細胞誘導の違いは、今回検討したサイトカインの関与が低い可能性が示された。TLR4またはTLR2のシグナル系を介して産生される、破骨細胞分化に作用する他のサイトカインの存在が考えられた。
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