2009 Fiscal Year Annual Research Report
陽極酸化・水熱処理チタンインプラントの三次元的骨形態計測による骨伝導能の評価
Project/Area Number |
21791915
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 茂樹 Iwate Medical University, 歯学部, 常任研究員 (10530032)
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Keywords | 表面・界面物質 / 細胞・組織 / 歯学 / シグナル伝達 / 生体材料 |
Research Abstract |
口腔インプラント治療は、歯や顎骨欠損の対する補綴治療の1つとして有用であり、高齢化にともなう顎口腔の歯列の形態・機能的変化による咀嚼障害を回復する方法として現代社会において貢献している。 我々は純チタン表面を放電陽極酸化処理し、さらに水熱処理を行うことで陽極酸化被膜上に結晶性の高いハイドロキシアパタイト(HA)結晶を析出させる表面処理法(SA処理)について報告してきた。これによりSA処理インプラント表面では初期の骨形成速度が速まり、口腔インプラント治療への有用性炉示唆された。そこで、SA処理により形成されたHA結晶を含む陽極酸化皮膜(HA皮膜)が骨形成能に関与していると考え、本研究ではラット上顎に骨埋入したSA処理インプラントの骨伝導能について評価することとした。 本実験では、Wistar系ラットの上顎骨にSA処理チタンインプラントを埋入し、14日間埋入後、SA処理チタンインプラントを摘出し、走査型電子顕微鏡(SEM)にてインプラント表面の骨組織の観察を行った。 その結果、埋入14日後のSEM観察において骨芽細胞様細胞が既存の骨組織より癒合した状態で走行しており、拡大像ではHA皮膜上において細胞よりコラーゲン線維が分泌されてネットワークが形成されており、それに伴いコラーゲンを含む細胞外基質が生成されている像が確認された。 以上のことから、SA処理により形成されたHA皮膜を足場として骨形成に関与する骨芽細胞様細胞の分化速度が促進され、早期に細胞外基質生成が起こっていると考えられた。
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