2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791990
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青田 桂子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70437391)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / ABL1 / イマチニブ / ニロチニブ / RNA干渉 |
Research Abstract |
近年、種々の悪性腫瘍に対して主に癌遺伝子を標的とした薬剤が開発され、臨床応用されている。しかしながら、本邦において口腔癌治療に使用できる分子標的薬は存在しない。分子標的薬は、ある特定の分子に結合し、その機能を抑制するため他の癌腫に使用されている分子標的薬でもその標的分子によっては口腔癌に対する抗腫瘍効果も期待できる。これまでに、われわれは口腔扁平上皮癌に共通して発現坑進する癌遺伝子の一つとしてABL1を同定した。本研究では、口腔扁平上皮癌治療におけるABL1の標的分子としての有用性を検討した。まず、ヒト口腔扁平上皮癌細胞5株を用いてABL1の分子標的薬であるイマチニブ、ニロチニブと標的配列の異なる3種類のABL1に対する合成small interfering RNA(siABL1)の細胞増殖に及ぼす影響を評価した。ABL1の阻害は全てのヒト口腔扁平上皮癌細胞の増殖を抑制した。さらに、ヒト口腔扁平上皮癌細胞ヌードマウス背部移植腫瘍に対してもイマニチニブ、ニロチニブ(経口投与)とsiABL1/アテロコラーゲン(静脈内投与)は、一定の抗腫瘍効果を示した。なお、抗腫瘍活性はsiABL1/アテロコラーゲン、ニロチニブ、イマチニプの願に高かった。つづいて、口腔扁平上皮癌患者より切除した腫瘍組織のイマチニブおよびニロチニブに対する感受性をcollagen gel droplet embedded drug sensitivity test(CD-DST)法にて評価したところ、イマチニブに感受性を示す症例は全く認められなかったが、ニロチニブに対しては67%の症例で感受性が認められた。以上の結果は、口腔癌の治療標的分子としてABL1は有用で、その分子標的薬であるニロチニブはCD-DST法を用いることにより口腔癌治療に応用可能であることを示唆した。
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Research Products
(2 results)