2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌幹細胞の分離と同細胞のCXCR4を標的とした転移抑制療法の開発
Project/Area Number |
21792004
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
尾上 富太郎 The University of Tokushima, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (90452648)
|
Keywords | 癌 / 幹細胞 / 歯学 / 扁平上皮 |
Research Abstract |
当研究室にて保有している口腔扁平上皮癌細胞株を用いて、CD44を指標に癌幹細胞を分離し、CXCR4の発現と転移能の相関性を検討し、CXCR4を標的とした転移抑制療法を開発することを研究目的とした。前年までの解析結果から、CD44陽性(+)細胞の割合が高い細胞株ではヌードマウス背部皮下での造腫瘍能が高く、造腫瘍能が低い細胞株では造腫瘍能が低いことが判明した。その結果をもとに、本研究ではまずCD44を指標にMagnetic cell sorting(MACS)systemにて分離し、得られたCD44(+)群およびCD44陰性(-)細胞群からRNAを抽出しCD44およびCD24、CXCR4を、さらには幹細胞マーカーでもあるBmil、Oct4、PCGF1やABCG2のmRNA発現をReal time PCRにて解析した。その結果、解析した全ての癌細胞株から分離されたCD44(+)群は、CD44(-)群と比較して有意にCXCR4 mRNAを高発現していることが確認できた。また、高い造腫瘍能と転移能を有する細胞株においては、造腫瘍能が低く転移能を持たない細胞株より幹細胞マーカーmRNAの発現が上昇していることが判明した。これらことから、CD44を指標に口腔癌幹細胞を分離できる可能性が示唆された。そこで分離されたCD44(+)群、CD44(-)群をヌードマウス(8週齢)の咬筋内および背部皮下に各々1×10^3個、5×10^3個、1×10^4個移植し、腫瘍形成能を解析したところ、CD44(-)移植群と比較してCD44(+)移植群で腫瘍形成能が高いと判明した。唾液腺癌細胞株についても同様に解析をおこない、同様な結果を得ている。今回の解析によって口腔癌の転移機構を明らかにでき、さらにはCD44を指標に分離した癌細胞群に高発現しているCXCR4を標的とした転移抑制療法の開発につながると考えられた。
|
Research Products
(2 results)