2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒーリングシートと咀嚼・咬合等の開閉口運動を利用した骨延長法の開発
Project/Area Number |
21792019
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
米澤 久信 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80423680)
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Keywords | 骨延長法 / 創傷治癒 / 口腔再建 / 骨形成 / 生体材料 |
Research Abstract |
本年度では、研究目的の一つである延長部位へ持続したmechanical stressを加えることで延長部位の新生骨が良好に形成される点について、開閉口運動や咀嚼運動の力学的エネルギーを延長力へ応用することを想定した持続的延長作用を有する骨延長器の開発に着手した。具体的には、マイクロアクチュエーターとステッピングモータを導入したチタン製の小型骨延長器を同大学工学研究科扇谷准教授御教示にて作製し、単位時間当たりの延長量を数千から数万分の1mmで連続した顎骨延長様式を可能とし、1日当たりの咀嚼回数を想定・具現化した。また、プログラミングソフトをインストールしたコンピュータ制御の下でUSBにて接続し、延長スピードを調節可能とした。これを、ウサギ(日本白色種)を実験動物とした下顎骨へ装着し、手動で1日当たり1回だけ1mm下顎骨を延長した群を対照群とした実験を行った。問題点としては、延長器との接続部分が脆弱であり実験動物の動きにより接続部分が断線される場合があるので当該部分について十分な補強が必要であることが挙げられる。対照群における延長部分の新生骨に関する評価に関して、マイクロCT(以下μCT)を用いた画像評価を施行した。延長後2週における下顎骨ではμCTによる3D画像を分析した結果、元来の顎骨から骨延長によって形成された新生骨には不規則な石灰化像が認められ、連続した部分の新生骨と不連続な部分が混在していた。これは、断続的なmechanical stressでは新生骨形成が元来の顎骨周囲に一様には形成されないことが示唆された。また、ヒーリングシートに関しては軟組織の創傷治癒効果が高い生体材料について考慮し、ウサギ(日本白色種)を実験動物とした舌などの軟組織の治癒経過を含めた効果について計画ではコラーゲンを成分とした材料であったが、フィブリン、ポリグリコール酸、トロンビン等幅広く考慮し、次年度に引き続き施行した。
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