2010 Fiscal Year Annual Research Report
新たな口蓋裂発症メカニズムの解析―口蓋突起癒合後離開する原因について―
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21792040
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
井村 英人 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤助教 (10513187)
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Keywords | 口蓋裂 / 口蓋突起 / 基底膜 / 器官培養 / 上皮 / 上皮索 / 発生 |
Research Abstract |
〈研究の目的〉 左右の口蓋突起基底膜が断裂・消失することにより、口蓋突起の癒合が行われるため、この基底膜の消長が口蓋裂発生の鍵を握ると考えられる。口蓋突起基底膜はIV型コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカンであるパールカンなどによって構成され、さらに、パールカンは5つのドメインからなるコアプロテインとドメインIに結合する3本のヘパラン硫酸鎖からできている。そして、口蓋突起の基底膜の断裂・消失には基底膜を構成する成分に対する特異的酵素による分解が必要である。 本研究は、口蓋裂発症のメカニズムを解明するため、C57/BL10マウスの胎生13.5日,14.5日,15.5日,出生後の口蓋部を用いて、基底膜の断裂を起こす特異的酵素であるパールカン、ヘパラナーゼの局在を免疫染色により解析し、さらに、器官培養法を用いて、口蓋突起の増殖期細胞の動態を観察した。 〈研究方法〉 A)C57/BL10マウス胎児の口蓋部を用いて、基底膜の構成成分であるラミニン、パールカン、ヘパラナーゼ、コラーゲンを観察した。 B)12日目のICRマウス胎仔の口蓋を採取し、MEMに2時間浸漬の後、DMEMとF12混合培養液で培養した。24、48、72時間後、抗サイトケラチン抗体、抗ラミニン抗体を用いた免疫染色により上皮組織を、また抗PCNA抗体により増殖期細胞の観察を行った。 〈結果とまとめ〉 1.口蓋突起癒合時に,上皮索基底膜のパールカンおよびコラーゲンIVの消失が認められた。 2.口蓋突起上皮細胞が分泌したヘパラナーゼはパールカンのヘパラン硫酸鎖に抱合されている増殖因子を遊離・活性化することにより間葉系細胞の分化・増殖を惹起する可能性が推測された. 3.口蓋突起上皮細胞が分泌したMMP (matrix metall oproteinase)はコラーゲンIV分子を細分化することで,上皮索基底膜の分解に関与することが示唆された. 4.口蓋突起が伸長する際、口蓋突起鼻腔側の基底膜にLamininの陽性反応を認めた。癒合前の口蓋突起全体にPCNAの局在を認め、活発に細胞増殖が行われていることが考えられた。
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Research Products
(2 results)