2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能画像分析を用いて前歯部開咬の嚥下運動と脳機能との関連性を明らかにする研究
Project/Area Number |
21792055
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 隆志 東北大学, 病院, 助教 (00513681)
|
Keywords | 前歯部開咬 / 異常嚥下運動 / 脳機能 |
Research Abstract |
前歯部開咬患者の嚥下運動時の脳の神経基盤を解明することは、前歯部開咬と異常嚥下運動の関連性を知る上で重要であり、この解明により前歯部開咬が脳機能に与える影響が明らかとなる。本課題では、まず前歯部開咬患者の形態的問題と機能的問題を明らかにした。さらに、不正咬合者が有する審美的な問題を検証するために、ファンクショナルMRIを用いた脳の神経基盤の解明を行った。 被験者は、東北大学病院矯正歯科を来院した骨格性1級または2級の開咬患者31名。形態分析としてセファロ分析を行った結果、開咬患者の下顎下縁平面角、前下顔面高、Overjet、下顎臼歯部高の分析値はそれぞれ標準値より大きく、Overbiteは標準値より小さかった。模型分析を行った結果、上顎歯列の狭窄とOverjetの過大、Overbiteの過小が認められた。機能分析として顎運動検査と咬合力検査を行った結果、咬合力と咬合接触面積はともに標準値よりも小さく、切歯運動量や下顎頭運動量などの顎運動量も小さかった。以上の分析結果から、開咬患者は下顎臼歯部が挺出し、下顎は後下方に回転しており、Overjetが大きくOverbiteが小さいことが明らかとなった。また、咬合力や咬合接触面積は小さく、顎運動時には下顎頭の運動制限が認められることが明らかとなった。このような問題に加えて、前歯部開咬患者の多くは口唇閉鎖不全や下顔面高の増大による審美的な問題を抱えている。そこでまず、前歯部開咬などの不正咬合者の審美的問題を脳機能の側面から評価するために、ファンクショナルMRIを用いた検証を行った。被験者は健常者24名で、同性他者の顔の魅力度によって相対的に自己顔評価が変動する知覚効果であるcontrast effectという手法を用いて、自己顔評価に関与する脳領域とその神経基盤を明らかにした。さらに、自己顔評価と自尊感情の神経学的関連性の検証を行い、ポジティブな自己顔評価において、後帯状回(PCC)と中脳腹側被蓋野(VTA)に特異的な活動が認められ、PCCとVTAの活動強度と自尊感情の間には正の相関が認められることを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)