2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯の移動時の歯周組織におけるポストデス・シグナルの役割
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21792057
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保田 衛 東北大学, 大学院・歯学研究科, 大学院非常勤講師 (30374945)
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Keywords | 歯学 / アポトーシス / 細胞・組織 / 歯の移動 |
Research Abstract |
矯正学的歯の移動は、メカニカルストレスを受けた歯周組織の改造によって達成される。その際、既存の組織・細胞集団が異なる機能を有する新しい組織・細胞集団に置き換わる過程が存在する。 本研究は、歯の移動時の部位特異的な歯周組織再構築のメカニズムの一端を解明することを目的として、歯周組織を構成する細胞の死後に放出されるシグナルに着目して研究を行い、以下のような成果を得た。 (1)歯の移動時に生じるアポトーシス 8週齢のWistar系雄性ラットの上顎第一臼歯を移動後に上顎骨を摘出し、作製した組織ブロックを用いた。通法に従ってパラフィン切片(水平断)を作製し、TUNEL法などの染色を施し形態学的に観察している。 (2)カスパーゼの阻害剤が歯の移動に及ぼす影響 (1)の実験をカスパーゼの阻害剤であるZ-VADの存在下(3日毎の局所投与)で行った。歯の移動は2週間行い、上顎の精密模型を作製して移動量を計測している。また、上顎骨を摘出し、組織ブロックを作製した。 (3)in vitroにおける歯根膜細胞、骨芽細胞のアポトーシス誘導 in vitroアポトーシス誘導法として、低酸素条件、持続的圧縮力条件のそれぞれを用いた。骨芽細胞および歯根膜細胞を培養し、アポトーシス誘導後、細胞生存率は減少した。刺激後の細胞からtotal RNAを抽出した。BioAnalyzer分析で測定し、RIN(RNA integrity number)=10を示す非分解total RNAを用いて、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行った。さらに遺伝子発現パターン解析により、HIF-1αおよびHIF-2αやATF-2ネットワーク、Canonical NF-kappa B pathway, direct p53 effectを介するシグナル伝達経路が候補としてあがった。
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