2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792130
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高田 貴虎 昭和大学, 歯学部, 普通研究生 (20384323)
|
Keywords | Sirt / 破骨細胞 |
Research Abstract |
サーチュインは、バクテリアからヒトまで広く保存されているNAD依存性脱アセチル化酵素で、寿命延長作用を持つことが知られている。最初に発見されたものは酵母のSir2で、ヒトのサーチュインは7種類(SIRT1~SIRT7)知られており、ヒトのSIRT1は、酵母のSir2に高い相同性を示す。サーチュインは細胞における栄養状態やストレスに反応して様々なタンパク質を脱アセチル化する。例えば、遺伝子保護物質であるヒストン(DNA結合制御たんぱく質)のアセチル化:分解を防ぐのである。骨代謝を制御する骨芽細胞・破骨細胞におけるSIRT1の発現は認められるものの、その機能に関しては不明である。また、さらに歯周組織におけるその発現・機能並びに歯周病病態における役割も全く不明である。したがって、骨・歯周組織におけるヒストン脱アセチル化酵素サーチュイン(SIRT1/Sir2)の発現・機能について検討した。今年度は特に破骨細胞におけるSirt1の機能について着目した。Sirt1の活性化することが知られているresveratrolを破骨細胞形成assayに使用した。Resveratrolは予想通り破骨細胞前駆細胞Raw264.7細胞におけるSirt1の発現を増強した。さらに、RANKL添加による破骨細胞形成assayにresveratrolを加え、その影響を観察した。その結果、対照群に比較して、resveratrol処理群では有意に破骨細胞形成が抑制されていた。マウスの骨髄細胞を用いた破骨細胞形成assayにおいても、resveratrolで処理することにより、破骨細胞形成は抑制された。どのような機序でSirt1の活性化が破骨細胞形成を抑制するのかを明らかにするために、破骨細胞関連遺伝子発現を網羅的に調査した。すると、Kathepsin KやNFATc1などのいくつかの遺伝子発現が有意に抑制されていた。以上の結果より、Sirt1は破骨細胞関連遺伝子発現を低下させることにより、破骨細胞形成を抑制することが明らかとなった。
|