2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792156
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
矢作 理花 新潟大学, 医歯学総病院, 医員 (50433503)
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Keywords | 随意性嚥下 / 水刺激 / 咽頭・喉頭部 / 末梢感覚入力 / ヒト |
Research Abstract |
高齢者の誤嚥性肺炎が深刻な問題になっている。本研究では誤嚥防止に寄与する口腔感覚の意義を追求するために、まず健常被験者において随意性嚥下を行わせた場合、口腔~咽頭・喉頭部への刺激が随意性嚥下にどのような影響を及ぼすのかを調べた。刺激溶液(蒸留水および食塩水)を咽頭部に限局して少量与えた実験から、咽頭部への水刺激を行うと繰り返しの嚥下の嚥下間隔時間は短縮し、嚥下を促進させることが分かった。一方、高濃度食塩水刺激では、繰り返し嚥下の嚥下間隔時間は延長し、水刺激による促進効果の抑制が明らかになった。注入量を増した実験では、刺激液の容量が増えたことによって嚥下が促進されることが明らかとなり(深部機械受容器の興奮効果)、咽頭・喉頭部を表面麻酔した実験では、水刺激の効果を抑制する極わずかの食塩水刺激をしたときよりも嚥下間隔時間は延長し、粘膜表面の触感覚の効果が明らかになった。口腔~咽頭部末梢刺激による嚥下促進効果を、受容器別に分けて表した実験は本研究が初めてのものである。本実験で行わせた随意性嚥下間隔時間には被験者間で個人差が認められ、繰り返しの嚥下遂行能力の低い被験者(嚥下間隔時間の長い被験者)ほど、末梢感覚刺激による嚥下促進効果が大きかった。このことから、繰り返しの嚥下遂行能力の低い人において、口腔内感覚入力が随意性嚥下を補償する役割のあることが示された。
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Research Products
(4 results)