2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔擦過細胞診を使用した口腔ケアアセスメント法の確立
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21792159
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
遠藤 眞美 Nihon University, 松戸歯学部, 助手(専任扱) (70419761)
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Keywords | 口腔 / 口腔ケア / 口腔擦過細胞診 / 要介護高齢者 / 障害児・者 / 口腔粘膜 / アセスメント法 / 口腔乾燥症 |
Research Abstract |
高齢者26名を対象に口腔内診査,SAKODA式口腔アセスメントと口腔細胞診を実施した.頬粘膜および下顎左側臼歯部頬側歯肉または歯槽粘膜を擦過した.Papanicolaou分類のClass Iは頬粘膜の20例および歯肉の7例であり,他はClass IIであった.Class IIの症例では,多数の細菌群と炎症性細胞を背景に核の腫大,大小不同および核周明庭を呈する表層型および中層型細胞を認めたCandida sp.が頬粘膜で7例,歯肉で12例に観察され,Periodic acid-Shiff染色にて菌糸状構造(仮性菌糸)を認めた.放線菌を頬粘膜の6例と歯肉の17例に認め,歯肉アメーバ原虫が頬粘膜で1例,歯肉の10例で放線菌群周囲に観察された.口腔ケアアセスメントのリスク点数が高くなると細胞異型傾向が強くなった.以上より口腔擦過細胞診の応用により口腔衛生や機能の状態が推察でき,口腔ケアプラン作成の評価に応用できることが推測できた.次に精神疾患による入院患者30名を対象に同様の方法を実施した.擦過部位は,歯肉,口蓋,頬粘膜,舌の4部位とした.全症例がClass IIで,部位別の特異性は認めなかった.口腔清掃状態の不良な症例では高齢者のClass IIと同様の所見であった.仮性菌糸の像を示すCandida sp.を23例に認められ,そのうち9例では全部位に観察できた.23例が口腔乾燥感を自覚していた.口腔乾燥感の自覚に関わらず,低い口腔水分測定値など口腔乾燥を臨床的に認めた症例では,細胞の核が膨化し,エオジンおよびエオジンGに細胞質が染まる表層型細胞を集合性に観察した.喫煙者では同様の細胞変化が観察された.このような細胞所見を認める症例では,実際には粘膜が乾燥している可能性があり,この場合の口腔ケアにおいては粘膜保護を目的とした口腔ケアを行う必要があることが示唆された.
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