2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792159
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
遠藤 眞美 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (70419761)
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Keywords | 口腔 / 口腔ケア / 口腔擦過細胞診 / 要介護高齢者 / 障害児・者 / 口腔粘膜 / アセスメント法 / 口腔乾燥症 |
Research Abstract |
某老人保健施設入所の胃ろう増設者20名(平均82.8±12.1歳:男性4名,女性16名)を対象に唾液湿潤度検査および口腔内水分計による唾液を指標とした口腔内環境のアセスメントと口腔擦過細胞診を実施した.部位は舌背表面とした.唾液湿純度検査および口腔水分計による計測は舌尖から約10mmの部位とし,口腔擦過細胞診は概ね同様な場所を中心に擦過した.口腔湿潤度検査値は平均1.9±2.5mm(最小0mm,最大8mm),口腔水分計値は平均19.5±8.0%(最小1.9%,最大30.1%)であった.これらの値から粘膜の乾燥を疑うことができた。Papanicolaou分類では,Class IおよびがClass IIが各10名であった.Periodic acid-Shiff染色を行うも全症例でCandida sp.は認められなかった.Class IIでは,多数の細菌群と炎症性細胞を背景に核の腫大,大小不同および核周明庭を呈するエオジンおよびエオジンGに細胞質が染まる表層型細胞を集合性に観察した.また,1例では放線菌のコロニーが認められた.Clas Iでは口腔湿潤度検査値が2.0±2.8mm,口腔水分計値が21.8±70%で,Class IIでは口腔湿潤度検査が1.7±2.1mm,口腔水分計値が16.8±8.2%とClass IIでは口腔環境がClass Iに比較して不良であった。以上より胃ろう増設者では臨床評価においても細胞学的にも舌粘膜表面の乾燥を疑うことができた.この場合の口腔ケアにおいては粘膜保護を目的とした口腔ケアを行う必要があることが示唆され,客観的な評価基準立案が重要であると考えられた.口腔擦過細胞診の応用は口腔内の細胞変化だけでなく口腔衛生や唾液による粘膜の湿潤状態など口腔環境が推察でき,口腔ケアプラン作成の評価に応用できることが示唆された.
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Research Products
(1 results)