2010 Fiscal Year Annual Research Report
EBNに基づく分娩時外陰部消毒に関する研究―水道水を使用した方法の効果の検証―
Project/Area Number |
21792253
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
瀬戸 知恵 福井大学, 医学部, 助教 (00436841)
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Keywords | EBN / 分娩時外陰部消毒 / 産婦のQOL / 水道水 / 消毒薬 |
Research Abstract |
本年度は、まず昨年度調査した施設A、Bに引き続き、実際に水道水を使用した分娩時外陰部消毒を実践している、国内の1施設にて実態調査を行った。この施設Cは、約600床の総合病院で、産科は混合病棟内の約20床、年間分娩件数約330件、帝王切開率約30%、助産師数15名であった。外陰部消毒は、約6年前から、通常は何もせず、汚染時のみ滅菌綿花、またはそれに温湯(水道水)を含ませたもので陰部周辺を清拭するという方法で行われていた。この方法を取り入れたきっかけは、産婦の苦痛への配慮と消毒根拠への疑問であり、また医師からも外陰部消毒は無意味との見解を得ており、長期間経過しているが感染等の問題は起こっていなかった。次に、正常分娩のケアは助産師が単独で行う体制がとられ、外陰部消毒に関する文献も多く見られる英国の2病院においても、同様の調査を行った。施設D、Eいずれにおいても外陰部消毒は行われておらず、英国では、日本の施設Cと同様、汚染時のみ温湯(水道水)を使用して清拭を行うという方法が当たり前のこととして定着していることが分かった。 これらの結果と、昨年度行った調査の結果、またこれまで研究者が行ってきた関連の研究結果から、水道水を使用した外陰部消毒は母子の安全面に問題なく、EBNに基づいた望ましい方法であることが示唆された。そこで、分娩時外陰部消毒に関する一連の研究結果をパンフレットにまとめ、全国の産科病院約900施設に送付した。また、妊娠・出産・育児情報を取り扱うホームページ「REBORN」主宰のメーリングリストでも研究紹介を行った。これらの啓発活動の結果、現在までに複数の施設や教育機関、開業助産師等から問い合わせを受け、既に幾つかの施設では、研究者が提言する水道水を使用した方法への変革が行われたとの報告も受けている。
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Research Products
(3 results)