2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792265
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井上 貴雄 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80513225)
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Keywords | 超音波 / 泣き声 / 乳汁分泌 / オキシトシン / NIRS |
Research Abstract |
1. 被験者(母親、未経産婦)に提示する音刺激を作成するために、泣き声の収録を行った。192kHzの標本化周波数で空腹時の泣き声を22名の乳児より収録した。収録した泣き声は20kHz以上の周波数成分を調べることで、成人の叫び声よりも豊富な超音波成分が含まれていることを確認した。 2. NIRSを用いて胸部血流の変化を調べた。音刺激呈示中の胸部血流の変化を調べた。刺激には1で収録した乳児の泣き声と超音波成分をふんだんに含んでいるウィンドチャイム音を使用した。未経産婦ではいずれの音刺激に対しても胸部血流量に変化は見られなかった。一方、母親は乳児の泣き声を聞いたときに、一時的に今日粒血流量が上昇した。この効果は可聴域の信号だけを含む泣き声を呈示した時よりも、可聴域と超音波領域を含む泣き声を呈示したときに増強が見られた。また、音刺激に対する主観的評価(乳房緊満感、音に対する不快感)を合わせて行った。乳房緊満感は一部の母親で乳児の泣き声によってのみ緊満感を感じたとの結果を得た。音に対する不快感に関しては、母親・未経産婦のいずれも、ウィンドチャイム音に対して不快と感じる被験者はほとんど良なかったが、未経産婦は泣き声呈示によって不快と感じる傾向が見られた。 乳児は'泣く'ことによって、母親の乳汁分泌に関わる生体反応を促進させ、十分量の母乳を速やかに獲得している可能性が考えられる。 3. 来年度は、胸部血流に影響を及ぼすホルモンであるオキシトシンが超音波成分を含む泣き声音声によって上昇するか否かを、泣き声呈示前後の血中オキシトシンを採取することで調べる。また、超音波成分を含む泣き声音声による脳機能への影響を調べるために、多チャンネルNIRSを用いることで超音波成分に特異的に賦活する脳領域を探索する。以上の計画によって、母性に影響を及ぼす音響成分を調査する予定である。
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Research Products
(1 results)