Research Abstract |
本研究では,姿形が人間に酷似したアンドロイドロボット(以下,アンドロイド)を先生役に用いた遠隔授業支援システムを開発し,実際の小学校にて実証実験を行うことを目的とする.アンドロイドを遠隔授業のインタフェースに用いることにより,先生が本当にいるかのような臨場感を演出することができ,ひいては実際に先生が行っているような緊張感のある授業が実現できると期待できる. 本研究の具体的な内容は,(1)アンドロイドの遠隔操作システムと操作インタフェースの開発,(2)アンケートやビデオを用いた生徒の発話や行動の分析によるアンドロイドの生徒に対する影響(コミュニケーション能力や統制力)の検証,(3)従来メディア(スピーカ,テレビ会議システム)や機械的な外見を持つロボットとの比較によるアンドロイドを用いることの効果や利点・欠点などの検証,の3項目である. 本年度では,主に項目(1),(2)について取り扱い,まず,アンドロイドを用いた遠隔操作システムを開発した.次に,a)教室を見回したり特定の生徒に目を向ける,b)『頑張って』や『静かにしなさい』等の簡単な発話をする,c)生徒の名前を呼ぶ,と言った簡単なコミュニケーション機能を実装し,実際の小学校にて自習中の生徒を遠隔で監視するといった実証実験を行った.なお,実験では,アンケートや環境音圧(生徒の私語の量と仮定)の変化を用い,スピーカーとカメラだけの場合との比較を行った.アンケートの結果から,"集中しやすさ","説明の理解度","楽しさ","参加意欲",といった項目においてアンドロイドの方が有意に高い結果が得られた.また,生徒の私語を注意した際には,アンドロイドの場合の方が環境音圧の減少率(私語の減少度合い)が大きくなり,生徒の統制には有効であることが分かった.
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