2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機ー無機ハイブリッドナノ構造を誘起する機能性糖類系バイオマテリアルの開発
Project/Area Number |
21800086
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Research Institution | Numazu College of Technology |
Principal Investigator |
山根 説子 沼津工業高等専門学校, 物質工学科, 助教 (00550477)
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Keywords | 有機-無機ハイブリッド / 糖 / リン酸カルシウム / DDS |
Research Abstract |
本研究は歯・骨再生を促進する多機能性足場材料の開発として,多糖-リン酸カルシウム複合化を行った.本足場の機能として歯・骨再生に効くタンパク質を内包させた多糖をリン酸カルシウムで複合化してヒドロゲル化することで,足場の構造安定化とリン酸カルシウムの溶解に伴う薬物徐放を期待した.足場は次の2通りの方法で作製した.(1)既存のタンパク質キャリアであるコレステロール置換プルラン(CHP)ナノゲルにリン酸カルシウム形成に作用しうるトリカルボン酸および,生分解性架橋点を形成するアクリロイル基を結合させ(COOH)_3CHPOAを合成した.これを核に用いて申請者の複合化技術を応用した結果,幅約50nmのヘリックスを経て長軸約200nmのヒドロキシアパタイト(HAp)ナノ粒子が生成した.ヒドロゲル化のため,(COOH)_3CHPOA濃度を上げて複合化したところ,HApは得られず不完全なヘリックスのみが観察された.本結果よりヘリックスおよびHAp結晶転移に(COOH)_3CHPOAが寄与したことが確認され,HApミネラリゼーションに関する重要な知見が得られた.高濃度(COOH)_3CHPOA-リン酸カルシウムに分岐ポリオキシエチレンを反応させ,目的の(COOH)_3CHPOA-リン酸カルシウムを架橋点としたヒドロゲル(足場)を得た.(2)リン酸カルシウム形成に作用しうるカルボキシル基を有するヒアルロン酸を用い,新たなタンパク質キャリアとしてコレステロール置換ヒアルロン酸(ChHA)合成し,リン酸カルシウムと複合化させた.その結果,単分散なChHA-アモルファスリン酸カルシウムナノ粒子が得られた.今後は,ChHAにアクリロイル基を導入して無機物と複合化し,ヒドロゲル化を行う.本研究より,多糖-リン酸カルシウム複合体およびこれを架橋点としたヒドロゲル合成方法が確立でき,多機能性足場への応用に繋がると期待される.
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Research Products
(8 results)