2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21810032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Tokyo University of Science, Suwa |
Principal Investigator |
今村 友彦 Tokyo University of Science, Suwa, システム工学部, 助教 (50450664)
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Keywords | 火災 / 防災 / 傾斜地 / モデル化 |
Research Abstract |
林野火災は消火が困難であり、二酸化炭素等の地球温暖化促進物質による環境影響も危惧される。このような火災による被害低減のための基礎研究として、本研究では、いまだ詳細な研究がなされていない、傾斜地における火炎および熱気流の挙動を表す実験データを取得すると共に、これを記述できる物理モデルの構築を目的とした。 平成21年度は、基礎となる実験データの蓄積に主眼をおいた。1200mm×1800mmの水平面を持ち、傾斜角度を90°まで設定できる傾斜架台を製作した。火源には100mm×600mmの開口部を持つ矩形バーナーを使用し、バーナー表面を不燃ボードで覆うことにより、開口部の縦横比を1:1,1:3,1:5,1:12の4種類設定した。傾斜角度は0°,15°,30°,45°とし、燃料はLPGとした。測定項目は火炎形状,温度,速度,熱流束である。 得られた実験データから、まず、火炎形状と傾斜角度の関係について検討した。その結果、火炎高さは発熱速度に依存して高くなる傾向が確認できた。また、傾斜角度が大きくなるほど、火炎は傾斜面を這うように立ち上がることが実験的に確認できた。温度測定結果をみると、火源中心から火災プルームの主軸に沿った温度は、火源中心からの距離が遠ざかるにつれて減衰する傾向は水平面における火災プルームの性状と同じであったが、火源からの距離が同じ地点においては、火炎が傾斜面を這う効果によって、傾斜角度が大きいほど温度が高くなっていた。すなわち、火災プルーム中心軸上の温度上昇は、発熱速度の変化に対して、傾斜角度によっては相似性が保存されなくなる可能性があることが分かった。以上の知見は、本研究によって新たに発見できたことであり、その意義は大きい。
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