2010 Fiscal Year Annual Research Report
十六~十八世紀のメッカ・シャリーフ政権および紅海貿易に関する動態的研究
Project/Area Number |
21820013
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
山田 啓子 (太田 啓子) お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, リサーチフェロー (20508220)
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Keywords | 歴史学 / 東洋史 / イスラーム史 / メッカ / シャリーフ / 紅海貿易 |
Research Abstract |
聖地メッカ、そしてその支配者であったシャリーフ(預言者ムハンマドの子孫)による政権の性格分析を通してイスラーム世界の政治文化のダイナミズム(動態)を解明することを目的とし、研究活動を行なった。本年度は紅海貿易において港町ジッダが果たしていた機能に着目し史料読解・分析を進めるとともに、世界史におけるメッカ巡礼の意義を明らかにすべく19世紀まで対象時期を拡大し、ヨーロッパ諸国とメッカ巡礼との関わりについて考察した。またオマーンにおける史料・史跡調査を行なった。 1.港町ジッダの研究 アラビア半島西岸の港町ジッダが紅海貿易において果たしていた機能を解明するため史料読解・分析を行ない、その成果を「港町ジッダと紅海貿易」の題目で報告した(平成23年2月・於早稲田大学)。この結果、前近代~近代に至るまで一貫してジッダが国際商業において重要な役割を果たしていたこと、紅海文化圏がインド洋世界、地中海世界の結節点として機能したことが明らかとなった。 2.メッカ巡礼の研究 世界史におけるメッカ巡礼の意義を明らかにすべく19世紀まで対象時期を拡大、史料読解・分析を行ない、その成果を「19世紀におけるメッカの「中心」性-メッカ巡礼とヨーロッパ-」として論文発表した(『人間文化創成科学論叢』第13巻、2011年)。この結果、メッカ巡礼は旧来のイスラーム世界観を強化する機能を担っていたのみならず、ヨーロッパ諸国によって構築された新しい世界秩序にイスラーム世界を組み込んでいく役割をも果たしていたことを明らかにした。 3.以上1、2の作業に加え、インド洋に面したアラビア半島の諸港(マスカット、ソハール、スール、サラーラ、タカ、ホール・ルーリー、ミルバート他)の史料・史跡調査を行なった(平成23年2月・於オマーン)。
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Research Products
(6 results)