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2009 Fiscal Year Annual Research Report

「凡庸な英雄」の誕生:18世紀フランスにおける英雄・ヒロイズムの概念の転換

Research Project

Project/Area Number 21820047
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)

Research InstitutionMeiji University

Principal Investigator

折方 のぞみ  Meiji University, 経営学部, 講師 (10548829)

Keywords啓蒙思想 / 百科全書 / 個人と共同体 / 18世紀フランス / ジャン=ジャック・ルソー / 英雄・ヒロイズム
Research Abstract

17世紀的な「孤高の偉人」としての英雄像が、18世紀的な「共同体の一員」としての英雄像へと変化していく過程を、『百科全書』等の17-18世紀の辞書類や辞典類における「英雄」「ヒロイズム」の概念、およびそれらをめぐる諸概念の比較分析を通して調査した。また、ルソーの人間論・道徳論と、16世紀のモンテーニュへの回帰から始まって、17世紀のパスカル、同時代のモンテスキュー、ヴォルテール、ディドロ、エルヴェシウスらへと続く思想家達の人間論・道徳論を比較分析・整理することで、16世紀をいまだ引きずる17世紀とは違い、様々な価値観がゆらぐことになる流動的な時代である18世紀に、英雄像の転換に関与する「新しい人間像」が胎動しているさまを新たな視点から分析・提示することを試みた。ロベール・モージの代表作『18世紀フランスの文学と思想における幸福の概念』でも指摘されているように、ルソーの生きた時代の最大の関心事のひとつに「幸福論」がある。幸福概念の転換が英雄概念の転換とも深く関わっているという確信のもと、「18世紀における幸福の概念の転換からみた英雄像の変化」という視点からルソーの思想を中心に時代を読み解く試みを行い、その成果の一部を紀要論文としてまとめた。
2月には京都大学への研究調査にいき、ディドロの『セネカ論』に関する諸研究を中心に、関連論文などを調査収集した。
本研究が達成されることで、18世紀研究において重要な分析概念である「英雄」「ヒロイズム」の概念史が整理されることが予想されるが、平成21年度はその大まかな時代背景を浮き彫りにすることが出来た。また「偉大さ」「利他性」「凡人的英雄」といったテーマは、強い個と同時にリーダーシップと協調性を持った人間を求める現代日本の教育的ニーズにもマッチしており、「孤高の偉人」から「共同体の一員へ」といった変遷の歴史の研究は、現代的な意義も高いものとなるはずである。

  • Research Products

    (1 results)

All 2010

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] ルソーの幸福論素描:彼岸と此岸の狭間で2010

    • Author(s)
      折方のぞみ
    • Journal Title

      人文科学論集 第56号(印刷中)

URL: 

Published: 2011-06-16   Modified: 2016-04-21  

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