2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会制度の生産と消費:韓国と日本の介護保険制度の比較研究
Project/Area Number |
21830016
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
李 賢鮮 東北大学, 大学院・文学研究科, 助教 (00542292)
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Keywords | 老人福祉 / 介護保険制度 / 市民社会 / 韓国老人長期養護保険 |
Research Abstract |
2008年7月、韓国の政府は老人福祉の一番重要な福祉政策として老人長期養護保険を開始した。このシステムは全般的に日本の介護保険制度を基にして作られたものである。本研究はこの韓国版の介護保険がどのように生産され、消費されているのかを日本のケースと比較した。長期の社会的な介護に関するこの比較研究は政策立案過程でスローガンとシンボルに与えられる意味が国によってどう違うのかだけではなく、政策のプラクテイスと機能、即ち、実際に政策が実行される時に何が起こったのかに関しても調査した。日本と韓国の介護保険制度が作られた背景で一番大きな違いの一つは、日本の場合、介護保険以前にゴールドプラン、ニューゴールドプランが代表する大規模な老人福祉政策が既存し、老人福祉の必要性、重要性に関する社会的な論議はすでに終わっており、介護保険の導入は国が福祉の費用の抑制のために考えられた。だが、韓国の場合、老人福祉制度の流れの一部ではなくいきなり社会保険の形の制度が導入された。二つ目の差異は、日本はNPO法の成立によって介護保険を支えられる市民単体という社会的な資源が多く存在していたが、韓国は新しい制度を支えるNPOなどの市民単体が少なく、営利単体だけがその主要なサービスプロバイダーで動いていた。結論的に日本の老人福祉政策は多大な社会的な要求と社会的な行為者たち、即ち国家と様々な利益集団の間の活発な相互作用を通じて生産されていた。そして、システムを実行する過程でも少数民族を含め、マルチプルな社会集団がシステムの消費に積極的に参加していた。反面、韓国は、政策立案の過程自体が社会的な要求、同意、利益集団の間の相互作用などの背景は少なく、制度の実行過程においてもグラスルート的な市民単体の参加は比較的に少なく、老人福祉に関する社会的に深い論議と論争は足りないまま強くマーケット中心で実行していた。
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